伊勢新聞

震災、豪雨乗り越え個展 四日市で石川の漆作家・箱瀬さん 三重

【作品を紹介する箱瀬さん(右)=四日市市安島の山画廊で】

【四日市】石川県輪島市の漆作家、箱瀬淳一さん(70)が、能登半島地震と豪雨を乗り越え約2年半ぶりに、三重県四日市市安島の山画廊で個展を開いている。18日までで、12、13の両日は休み。

令和6年元日に発生した能登半島地震で、箱瀬さんの生活は一変した。自宅は被害を免れたものの、工房3棟が全壊した。現在は仮設の工房を借りて、制作に取り組んでいる。さらに同じ年の9月に起きた豪雨が追い打ちをかけた。自宅から工房へ向かう途中の箇所で土砂崩れが発生。その影響で、以前と同じ場所での工房の再建は難しいという。

会場には、がれきの中から運び出した椀(わん)や皿、鉢など約150点が並んだ。約300年前のケヤキで作った木地に、漆を塗り仕上げた大鉢を見つけたときは「無傷で出てきてくれて、涙が出た」。国内外の多くの人から善意が寄せられた。

箱瀬さんは「工房を再建して、良い作品を作り続けていくことが、何よりの恩返しになると思う」と前を向いた。