【津】三重県津市垂水の石水博物館は13日、開催中の企画展「伊勢商人川喜田家の茶道具名品」(6月8日まで)に合わせたギャラリートークを実施し、学芸課長の龍泉寺由佳さん(53)が展示を解説した。
同館は津市出身で川喜田久太夫家16代当主の半泥子(明治11―昭和38年)が設立。今展は同館の博物館登録50周年を記念した企画で、江戸時代から歴代当主が収集した茶道具▽近代になり16代半泥子が収集した茶道具▽半泥子が制作した茶陶―計約100点を展示している。
龍泉寺さんは、藤堂家から拝領した桃山時代の千利休作の花入れや、江戸時代前期の野々村仁清作の香合など貴重な茶道具を紹介。川喜田家と表千家の関わりに触れ「江戸時代は主に武家の文化だった茶の湯が商家に移行し、幕末には地方の有力商人が経済的に支えた」などと解説した。
半泥子が若い頃から茶の湯をたしなんでいたとして「焼き物を自分勝手に作っているようで源流には表千家の価値観や美意識がある」と述べた。
松阪市の美術商、神保康代さんは「お茶の世界は道具の歴史や背景など奥が深い。解説が聞けて勉強になった」と話した。
ギャラリートークは29日、5月3日、同22日、6月7日のいずれも午後2時から実施する。入館料一般500円、学生300円。月曜(祝日の場合は翌平日)休館。