【尾鷲】三重県尾鷲市向井の県立熊野古道センターで5日、全76件の市指定文化財を紹介する企画展が始まった。尾鷲神社の神宝で県有形民俗文化財の「獅子頭」を県内で初めて公開している。
東紀州5市町の文化財を自治体ごとに公開する企画「郷土の軌跡」の第1弾。会場では、普段は見られない寺社や個人所有の文化財を展示し、歴史的価値を写真付きのパネルで紹介している。
企画したのは、文化財調査の経験を持つセンターの嶋田仁志さん。郷土文化を継承しようと、2月上旬から資料収集や撮影を進めた。一部の画像は三次元(3D)モデルに落とし込んでいる。
実物は、文化財16件の計57点を展示。目玉の獅子頭は高さ約33センチ、長さ約46センチの木彫り。制作は室町末期以降と推定される。例大祭「ヤーヤ祭り」ではレプリカを使っている。
このほか、海防担当の地元藩士らが異国船の識別に使った「九鬼家異国船絵図」や、縄文各期の土器が出土した「曽根遺跡」の埋蔵物、江戸中期から明治初年までの文書などを公開している。
嶋田さんは「林業や漁業など、市の特色を示す文化財が多い。貴重な獅子頭を含め、市の魅力に触れてもらえれば」と話している。6月22日までで会期中無休。獅子頭は今月20日まで。