伊勢新聞

仕事と介護両立へ相談窓口 三十三銀、離職防止へ専門家対応 三重

【相談窓口設置について話す齋籐氏(右)と和田氏=四日市市西新地で】

【四日市】三十三銀行(三重県四日市市)は4月1日、介護をしている職員「ビジネスケアラー」向けの専用相談窓口を設置する。

同行は昨年7月から、家族介護者・ビジネスケアラー支援サービス「Pastel D」を提供している「メディトリーナ」(山梨県甲府市、和田典子代表)と協議を重ね、「仕事と介護の両立支援相談サービス提供」に関する業務委託契約を締結し、窓口設置と9月までの試験運用を決定。試験運用で出てくる問題点を改善し、10月からの本格運用開始を目指す。窓口は職員が専用サイトで申し込み、相談内容に基づいて同社が提携している専門家に連携。コンシェルジュが受け付け、必要に応じて専門家との面談を設定する。Face to Faceの相談窓口とし、主にアプリ「Zoom」などのオンライン相談で実施する。業務委託し、専門家に相談できる窓口を設置している事例は珍しいという。

同行本店で今月27日、和田代表と、旧三重銀行元頭取で三十三銀行顧問の齋藤彰一氏、同行の川瀬和也取締役が記者会見した。社会課題解決に向け活動しているNPOプラチナ・ギルドの会の理事を齋籐氏が務め、和田代表も会員となっている。

同行では齋籐氏の提案で本年度、和田代表らが講師を務め、介護に関する職員向けセミナーを2度開催。計187人の職員が参加し、受講後のアンケートで9割を超える職員が介護に関する不安を抱えていると分かったこと、介護離職防止を目的として来月には育児介護休業法改正が予定されていることを踏まえ、同行では、研修のみの対応では介護による離職防止効果は限定的であると判断。福利厚生充実の観点からも、介護と仕事を両立できる環境づくりを目指すと決め、介護での不安を解消するための相談窓口設置を決めた。

和田代表は「5年後に介護に関わる経済的損失は9兆円を超える推定だが、介護離職と生産性低下による損失がある。介護をしている家族を支援するサービスが求められている。介護、仕事、家族関係など絡み合った課題を解きほぐして分解し、一つ一つ解決し、伴走していく」と話した。

「Pastel D」を同行に紹介した齋籐氏は「仕事と介護の両立は大きな社会課題となっており、セミナーで職員は具体的なことを知ることができ、効果があった。窓口設置は法改正に合わせたタイムリーなサービスで、画期的だと思う」と語った。