一見勝之三重県知事(62)は21日の県議会本会議で「まなじりを決して知事選に臨む決意をした」と述べ、任期満了(9月12日)に伴う知事選に立候補すると表明した。無所属で出馬する予定。
一見知事は「三重の片田舎に生まれたが、3年半前に県民のおかげで知事に就任した。役人出身で派手な立ち回りはできないが、実直に愚直に知事職を務めてきたと思っている」と述べた。
新型コロナウイルスの対応や国民体育大会の中止判断、女児=当時(4つ)=が死亡した虐待事案への対応は「国で働いた経験と人脈がなければ乗り越えられなかった危機だった」と語った。
人口減対策やG7交通大臣会合の県内開催、観光振興などを挙げ、就任からの約3年半を「県民のために一心不乱に取り組んだ」と振り返った。防災対策は「形が見えてきた」と評価した。
一方、県内で経済分野のジェンダーギャップ指数やインバウンド(訪日観光)の回復が低迷していることに言及。「着手はしているが、まだまだ三重県の課題は山積している」と語った。
その上で「ふるさと三重県の同胞のため、とりわけ子どもたちのため、初心に戻り、謙虚な気持ちで力を振り絞るとの思いを持ち、まなじりを決して次期知事選に臨む決意をした」と述べた。
この後、報道陣の取材に応じた一見知事は、出馬を決めた時期を「つい最近」と説明。政党などから推薦を受ける考えについては「現時点で何かを決めたわけではない」と述べるにとどめた。
一見知事は亀山市出身で東大法学部卒。海上保安庁の次長や国交省の自動車局長などを経て、鈴木英敬知事(当時)の国政転出に伴う令和3年9月の知事選に無所属で立候補し、初当選した。
今のところ、一見知事の他に知事選への出馬表明はない。共産党県委員会などでつくる政治団体「県民本位のやさしい三重県政をつくる会」が、候補者の擁立に向けて調整を進めている。