伊勢新聞

「災害関連死」新たに推計へ 南海トラフ被害想定見直しで、県議会常任委

【被害想定の見直しに向けた検討状況の説明を受ける防災県土整備企業常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は12日、政策企画雇用経済観光、防災県土整備企業、教育警察の各常任委員会を開いた。防災対策部は南海トラフ地震被害想定の見直しに向けた検討状況を報告した。能登半島地震の教訓を踏まえ、避難生活での疲労やストレスなどが原因で亡くなる「災害関連死」の人数を新たに推計する方針。災害対応に必要な人員の数や経費なども新たに盛り込む。

介護施設の収容能力や車中泊の避難者なども
 〈防災県土整備企業=中瀬信之委員長、7人〉
県によると、見直し後の被害想定では、地震発生時に不足する介護施設の収容能力や介護職員、車中泊の避難者なども新たに推計する。帰宅困難者数の推計には新たに観光客を含める。

また、最新の航空測量データやボーリング調査などを元に県全域の地盤や地形をモデル化。これにより、想定される浸水の深さや液状化の危険度などを表した地図の精度も高まる見通し。

県は昨年9月に学識経験者らでつくる会議を立ち上げ、被害想定の見直しに向けた検討を進めている。国が今月末に公表する被害想定などを踏まえ、来年3月にも新たな被害想定を公表する。

県は平成26年3月に現行の被害想定を作成した。南海トラフ地震による県内の死者は理論上最大で約5万3千人、全壊と焼失の家屋は約24万8千棟に上ると推計している。

みかじめ料の授受に罰則 県警が暴力団排除条例改正案
 〈教育警察=喜田健児委員長(6人)〉
県警は暴力団排除条例の改正案を報告した。みかじめ料の授受に対する罰則規定や、名義貸しを規制するための措置などを新設。6月の県議会に提出し、10月の施行を目指す。

県警によると、条例改正案では四日市市の西新地、諏訪栄町、西浦一丁目を「暴力団排除特別強化地域」に指定。地域内の飲食店や性風俗店などを対象に、みかじめ料の支払いを禁止する。

違反した場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。自首をした店舗の営業者への減免規定も設ける。現行条例は、みかじめ料の授受に対する罰則は設けていなかった。

条例改正案には、暴力団員の身分を隠した賃貸契約や口座開設を規制する項目も新設。名義を貸し借りした暴力団員や名義人に対する勧告、氏名や住所などの公表といった措置を定める。

基本戦略を策定へ ジェンダーギャップ解消で
 〈政策企画雇用経済観光=石垣智矢委員長、8人〉
政策企画部は、経済分野でのジェンダーギャップを解消する取り組みの方向性を示す基本戦略を策定すると報告した。有識者らによる議論などを経て、来年度中に完成させる方針。

県によると、戦略の策定は人口減対策の一環。経済分野で「全国46位」とされるジェンダーギャップの解消に向けた取り組みを加速化させることで、若年女性の県外転出を防ぎたい考え。

戦略では家事や育児の時間、賃金など、経済分野のジェンダーギャップを巡る課題を掘り下げる見通し。企業や関係団体との連携など、取り組みの方向性を明記することも想定している。

有識者や経営者でつくる検討会議(8人)を21日に立ち上げ、戦略の策定に向けた議論を始める予定。ジェンダーギャップの解消に特化した戦略は、兵庫県豊岡市などが策定している。