伊勢新聞

2025年3月6日(木)

大観小観
▼“不夜城”と言われた県庁の働き方が問題になったのは野呂県政の時代だったか。日曜・休日も電気が消えることがなく、周辺県民からも異様さが指摘された

▼原因は議会対応とされ、知事ら幹部の答弁の完全を目指す結果、知事レクが過剰になり、職員の負担になっているとして質問時間の縮小などが議会と調整された。議会の抵抗で目に見える改善とまでいかなかったが、質問の事前通告の充実や職員負担への配慮が申し合わされた。知事の「パワハラ疑惑」が県に寄せられ、外部委員による調査委員会が組織された

▼内容は「レクがスケジュール通りに進まない。適切に管理できていないのが原因だと、秘書課の職員を叱る」などで、課長級や課長補佐級の職員57人の聞き取り調査で「パワーハラスメントには該当しない」と結論づけられたものの「モチベーションが下がる」「何のために仕事をしているのか分からない」「職場がどんよりしている」との声も相次いだという

▼根本は議会対応が改善されていないのではないか。県民の代表である県議に納得される答弁をすることが職員の責務とされ、議決機関である議会の意向に沿うことが、事業を円滑に進める早道でもあった。結果的に議会偏重になり、県民への奉仕を第一とする職員の義務との間に差異を生じさせるのかもしれない

▼報告書を受けた一見勝之知事は「内容を真摯に受け止め、職員とのコミュニケーションを丁寧に図りながら県民のために職務を遂行する」。不断の努力が必要で一過性にしてはならない。