【度会郡】三重県大紀町滝原で、町内の畜産農家やイチゴ農家が、地元の地域活性化団体「人とホタルの元気な里地づくりプロジェクト」が管理する遊休農地を活用した取り組みを進めている。
同町野原に牛舎がある「おいせ畜産」(津市)では、代表の岡田秦名さん(28)と長年畜産業に携わってきた夫の裕城さん(42)が、自社ブランド牛「おいせうし」を肥育。おいせうしは赤身と脂身のバランスがよくさっぱりとした味わいが特徴で、牛の健康を第一に考えて肥育環境や飼料にもこだわって育てている。
昨年6月、町職員から町内の遊休農地について相談された裕城さんは、おいせうしの放牧を提案。約2ヘクタールの遊休農地を管理し、年3回ほど草刈りを行っている同プロジェクトの柏木昭久事務局長に話を持ちかけると、快諾した。10月ごろから、同町滝原の遊休農地の一部でおいせうし約五頭の放牧を行っており、牛の休憩場所もつくる予定。
放牧することで草刈りの回数が減り、管理者の負担を軽減するだけでなく、牛も自由に行動できるのでストレスが少なく健康につながるなど、お互いにメリットがあるという。
昨年から新規就農した阪井文哉さん(36)=同町滝原=は、おいせうしの放牧地近くの遊休農地を活用し、イチゴハウス2棟を建てて「かおり野」を栽培。本年度中にハウスは4棟になる予定だ。
阪井さんは森林組合に10年ほど勤務後、建築業に携わっていたが、地元の若手イチゴ農家を手伝っているうちに農業に興味を持ち、研修を経て新規就農した。
「地元で何かしたい」という思いがあり、柏木事務局長に相談して遊休農地を活用することになった。背丈ほどあった草を刈り、経費を抑えるために自分らでハウスを建てた。肥料の濃度などにこだわりながら、「甘みと酸味のバランスがいいイチゴ」を目指し、栽培に取り組んでいる。
裕城さんは「今後もいろんな形で地域に貢献できれば」、阪井さんは「皆さんが協力してくれてやりやすい環境だった。経験を積んでお世話になった人に恩返しがしたい」と意気込みを語った。
柏木事務局長は「遊休農地を増やさないために、私たちも応援するので新規就農して活用してもらえれば」と話した。