伊勢新聞

2025年2月4日(火)

▼人気のテレビトーク番組「徹子の部屋」に先日出演した俳優の佐久間良子さんが楽しみとして月1回、5人のママ友の家を持ち回りでマージャンをしていると話していたのですっかりうれしくなった。このところいわゆる雀荘というのはめっきり減った

▼県庁でも昔は吉田山会館などを会場に、県議、職員らの愛好家が集い、盛大にマージャン大会が開かれていた。金銭は賭けなかったせいか、賭けマージャンでカモにされていたのにたまたま誘われて参加した時は並みいる強豪相手に2位になり、大いに吹聴しまくったものだが、今は勤務外でも卓を囲む職員はいなくなったのではないか

▼昼間からあちこちの家でジャラジャラと牌をかき混ぜる音が聞こえたという中国でも、革命後はすっかり消えたという。衰退産業と思っていたが、どっこい家庭では生きていたということか

▼指を動かして複雑な役づくりに思考を巡らし、瞬時に点数を計算する。マージャンはお年寄りの認知症防止の手段として老人ホームなどではリハビリゲームとして採用する施設が増えているらしい。孤立は死亡リスクを毎日たばこ15本吸うのと同等に高めるとする近藤克則・千葉大予防医学センター特任教授も、社会的処方箋として農園とともにマージャンをあげる

▼昔愛読した阿佐田哲也著『麻雀放浪記』はヒロポンを打ちながら賭けマージャンで生計を立てる戦後の賭博師が主人公だった。憧れて雀荘に入り浸っていっぱしの“悪”を気取っていた時代もあったが、いまや“健康器具”とは感慨深い。