伊勢新聞

2025年1月20日(月)

▼「ガラケー」はガラパゴス携帯の略。太平洋上に浮かぶ諸島の動植物が他の世界との接触がなく、独自の進化を遂げたことに由来し、孤立した文化や技術が進行することをガラパゴス化と言ったりする

▼ガラケーを使用し、SNS(交流サービス)どころか、テレビもサスペンスドラマぐらい、週刊誌もめったに見ず、ニュースは新聞に頼っていると、今の時代“ガラパゴス族”になるのかもしれない。最近世間を騒がせているニュースの核心がさっぱり分からない

▼一つは韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣布と、それを巡る同国政治の混乱。もう一つはタレント・中居正広氏による女性トラブルに関してのフジテレビ社長の会見。いずれも“ガラパゴス族”にとっては唐突に大きく報道された

▼韓国大統領問題については、これまで日韓関係を中心に、政権与党の動きしか報じられてこなかったからだろう。中居氏については、知らないことが珍しくないことを補強した格好。ジャニーズ事務所の創業社長問題や宝塚歌劇団問題も、発生は相当古いのに、知らされたのは、取り返しがつかなくなってからだ

▼大きく報じられたフジテレビ社長会見も、奥歯に物が挟まっているようで、またもテレビ局とタレント(事務所)との深いつながりを類推させるだけだった。新聞とテレビという報道の中心のこの姿は、いわゆる報道の不信につながるのではないか

▼兵庫県知事選はSNSに対する“マスコミの敗北”といわれる。元県議が命を縮めたことにも、責任がないとはいえない。