-顧客の満足が喜び 経営引き継ぎ事業拡大へ- 「ハッピー・ライフ」社長 山路憲正さん

【「契約者へのより迅速な対応に努めたい」と話す山路さん=桑名市常盤町で】

 桑名市常盤町の保険代理業「ハッピー・ライフ」は、興亜火災海上保険(現損保ジャパン)の個人代理店として父都昭さん(76)が同市東方で創業した「山路損害保険事務所」が前身。平成元年に法人化し、同6年に現在地に移転した。

 同21年、会長に退いた父から経営を引き継いだ。30年余にわたって父が築いてきた信頼と実績で得た法人・個人客を大切にサポートするとともに、新規契約にも力を注いでいる。

 顧客のニーズの多様化に伴ってセコム損保やアフラックなど取扱商品の幅を広げて業績を伸ばした。令和元年には「ハッピー・ライフ」と社名を変更し、名古屋市に営業所を置いて愛知県への進出を果たした。

 保険の見直し相談では、顧客が加入している保険の必要性の有無を再検討し、最良の解決策と要望に沿った商品を模索する。「警備保障と火災保険の併買で保険料が軽減できる」「更新ごとに掛金が上がる更新型より、終身型で平準化する方が生涯の保険料が軽減できる」など、顧客のニーズを把握した上で的確なアドバイスの提供を心掛けている。

 桑名市で2人きょうだいの長男として生まれた。幼い頃は甘えん坊で、母親にしがみついて幼稚園に行きたくないと泣き叫んでいた。小学生になってからは活発になり、友だちと学校林で昆虫を捕まえて持ち帰っては虫嫌いの母を驚かせていた。

 中学の3年間は陸上に打ち込んだが、進学した桑名高校ではクラブ活動はせず、放課後は級友らと遊び回っていた。卒業後は大阪の関西大学に進み、工学部で学ぶ傍らバイトにも励み、仲間とバイクツーリングや海外旅行も経験した。

 病気がちで入退院を繰り返していた母を安心させようと家業を継ぐ決意を固め、在学中に損保一般資格を取得した。卒業後は、名古屋市の損保会社に就職して1年間実務を経験し、「山路損害保険事務所」に入社した。

 「山路さん(父)に任せておけば間違いない」と、雑談だけで契約更新をする顧客が多く、それまで知らなかった父の一面を知った。家で仕事の話は一切せず、毎晩帰宅は遅く、休日は趣味のゴルフに出掛ける父に抱いていたわだかまりが消え、尊敬の念に変っていった。2年後、父の仕事を継ぐことを喜んでくれていた母が他界した。

 入社から13年目、父に「そろそろお前に任せたい」と言われた。父のように立派にやっていけるのかというプレッシャーはあったが、気持ちを引き締めて経営を引き継いだ。会長になった父は、いつでも相談に乗ってくれる頼もしい存在だ。

 医師の妻真也子さん(35)と長女仁子さん(4つ)、次女晴さん(2つ)の4人家族。家事、育児は妻と分担し合い、娘たちとの入浴が一番のリラックスタイムだという。「娘たちの元気な成長が何よりの幸せ。いつも明るく笑顔を絶やさない妻に感謝を伝えたい」と話す。

 「入っていて良かった」「お守りのありがたさを実感した」など、災害や事故、病気などの保険金請求手続きの際の感想がうれしい。事故対応に満足して、車の保険だけでなく生命保険の成約につながることもある。「今後は、営業担当の社員を増やしてエリアを拡大し、レンタカー会社や修理会社、工務店などとの連携強化で、契約者へのより迅速な対応に努めたい」と語った。

略歴: 昭和48年生まれ。平成8年関西大学工学部卒業。同9年「山路損害保険事務所」入社。同21年「山路損害保険事務所」社長就任。同24年桑名青年会議所理事長。令和2年県損害保険代理業協会桑員支部長就任。