-時代の変化とニーズに対応 感謝を忘れずチャレンジ- 「養三」社長 駒田昌彦さん

【「今後も常にチャレンジ精神を持って会社を発展させていきたい」と話す駒田さん=川越町で】

 川越町南福崎の名四国道沿いにある石油販売業「養三」は、祖父の故三太郎さんが養鰻業を営む傍ら、昭和38年に創業した「駒田石油店」が前身。養鰻業の三太郎さんで「養三」の愛称で親しまれていたことから、同44年に社名を「養三」と改称した。

 2代目の父幹雄さんが亡くなった後は、母洋子さん(72)が会社を切り盛りし、平成14年に母から経営を引き継いだ。現在は、川越町と朝日町のガソリンスタンド2店舗に加え、不動産賃貸業にも進出して業績を伸ばしている。

 川越町で姉と2人きょうだいの長男として生まれた。家が交通量の多い国道沿いにあり、幼少時は何度も車道に飛び出してはねられそうになったという。心配した両親に、週末以外は桑名市の母の実家に預けられ、祖父母が経営する保育園に通った。

 父の勧めで小1から剣道場に通うようになり、中3の時に三泗地区大会で個人優勝、高1では県大会2位の成績を収めた。「厳しい稽古に音を上げず10年間打ち込めたのは、人生の師と仰ぐ恩師と互いにトップを目指す仲間たちがいたおかげ。今でも会うと当時の話で盛り上がる」と話す。

 将来は家業を継ごうと、高校卒業後は愛知県のトヨタ名古屋自動車大に進んで整備技術を学び始めたが、授業に専念することができず退学。「仕事を手伝わせてほしい」と、父に頭を下げて養三に入社を許された。

 早朝からガソリンスタンド店頭での接客、企業への配達や灯油の宅配などをこなした。川越店閉店後は、夜遅くまで営業している朝日店で接客に励む傍ら、地域の消防団員としても活動した。平成8年、病気がちだった父が亡くなり、社長となった母を従業員10人と共に支えてきた。

 祖父から父が引き継いだ頃は、高度成長期で景気は右肩上がりだったが、今は頑張っても必ずしも結果が伴わない時代になった。「成功する保証はないが、僕に任せて欲しい」―。父亡き後10年間、働き詰めだった母には還暦を機に楽をしてもらおうと会長就任を提案し、経営を引き継いだ。

 母と、経理を担当する幼なじみの妻豊子さん(47)、保育士の長女真希さん(23)、大学生の次女奈央さん(20)、中学生の長男拓哉君(15)の6人家族。全員が集まる夕食時はにぎやかで、何より幸せを実感できるひととき。「母が父を支えたように、自分を助けてくれる妻には感謝しかない」と話す。

 時代の変化とニーズに対応して6年前には、2店舗にセルフ給油機を導入した。「企業や地域の方々、従業員に支えがあって創業から55年を迎えられた。感謝の気持ちを忘れず、今後も常にチャレンジ精神を持って会社を発展させていきたい」と語った。

略歴: 昭和46年三重郡川越町で生まれる。平成元年県立川越高校卒業。同年「養三」入社。同18年「養三」社長就任。同24年三重保護司会の保護司に就任。同25年朝明商工会理事就任。同29年県PTA連合会専務理事就任。