-常に顧客の立場で提案 感謝の声が何よりの励み- 「ひまわり不動産」代表 村上美千子さん

【「数少ない女性の不動産会社経営者のひとりとして、後に続く方々のために飛躍したい」と話す村上さん=四日市市幸町で】

不動産会社に勤務する傍ら、宅地建物取引士の資格を取得し、平成27年5月、四日市市幸町でひまわり不動産を創業した。ゼロからのスタートだったが、友人知人らの支援を受けて、少しずつ取り扱い物件を増やしてきた。現在は、北勢地域を中心に不動産売買の仲介と賃貸事業に加え、NPO法人を設立して空き家管理事業にも乗り出している。

四日市市蒔田で自営業を営む両親の下、3姉妹の末っ子として生まれた。毎日、遅くまで働いている父母が、夏休みには仕事を休んで遊園地のプールに連れて行ってくれた。「うれしくて前の晩から浮輪を膨らませて、興奮してなかなか寝付けなかった」と懐かしむ。

中学生になると、母親の負担を少しでも軽くするために、姉たちと家事を分担してきた。四日市高校に進学し、アルバイトも経験した。卒業後は、事務職として市内の企業に勤務した。

23歳の時、高1から7年間の交際を実らせて結婚し、長男と長女に恵まれた。子育ての傍ら、パソコンを学び、インストラクターとして企業のパソコン教室などで指導し始めた。

40歳で17年間の結婚生活にピリオドを打った。親子3人の生活を守るため、無我夢中で働いた。その後、不動産会社に就職して営業事務を担当した。顧客の要望にぴったりの物件を探して、喜んでもらえた時の達成感は言葉にできないほどだった。いろいろな仕事を経験してきたが、ようやく「これだ」と思う仕事を見つけた。寝る間も惜しんで猛勉強をし、4度目の挑戦で宅地建物取引士の資格を取得した。「人生で一番頑張った時期だった」と振り返る。

49歳で独立を決意し、開業に踏み切った。「一期一会」を座右の銘に、初めて会う人だけでなく、自身を取り巻く全ての人々に感謝の気持ちで接することと、支援してくれた方々に恩返しをしていくことを生涯の誓いとした。

「顧客の立場で、常にアンテナを立て、現場を自分の目で見て提案すること」をモットーに、迅速で誠実な対応を心掛けている。「細やかな心遣いがうれしかった」「こんな土地が欲しかった」などの声が何よりの励みになる。顧客からの新たな紹介もあり、事務所を留守にして駆け回る充実の毎日に生きがいを感じている。

昨年5月には、NPO法人「空き家サポート・ひまわり」を設立して、最適な空き家活用や管理方法を提案している。同7月に催した開業1周年記念パーティーには、170人余が祝いに集ってくれた。祝賀会に併せて、熊本地震被災地への義援金を募るチャリティーオークションも開き、皆で1日も早い復興を願った。

「お母さん、頑張りすぎないで」と、それぞれが望んだ道を進んでいる長男(26)と長女(24)も気遣ってくれる。「数少ない女性の不動産会社経営者のひとりとして、後に続く方々のために飛躍したい。当面の目標は、賃貸でなく自分の事務所を建てること」と意欲を語った。

略歴: 昭和41年生まれ。同58年県立四日市高校卒業。同年昭永工業入社。同61年三重促成入社。平成20年フジケンホーム入社。同27年宅地建物取引士資格取得。同年ひまわり不動産創業。同28年NPO法人空き家サポート・ひまわり設立。