-佐川で培ったセールス力 起業3年目に中部トップに- 「SDコンサルティング」社長 津田正雄さん

【「地域社会の発展に寄与し、必要とされる企業を目指したい」と話す津田さん=四日市市沖の島町で】

 四日市市沖の島町の「SDコンサルティング」は、新電力会社イーレックス(本社・東京都)の代理店として同市大矢知新町で平成26年に創業、今年1月に現在地に移転した。中部を中心に、関西、東京エリアの企業や学校法人、旅館、ホテルなどに、電力会社の切り替えによるコスト削減を提案している。

 イーレックスは、平成12年の電力自由化に伴い、発電施設を持つ工場から調達した余剰電力を民間企業などに供給して業績を伸ばし、同26年には東証1部上場会社となった。

 埼玉県で3人きょうだいの長男として生まれた。幼少時は、真冬でもランニングシャツに短パンで過ごす健康優良児だった。中学生のころから電気や機械に興味を持つようになり、家のビデオデッキやラジカセなどを分解しては、組み立てる作業に没頭した。

 元通りに組み立てられず、壊してしまうことが度重なると、「知りたいことを追求するのはいいことだ」と笑っていた父から、「いい加減にしろ」とたしなめられた。

 東京の私立工業高校電子機械科に進んだ。機械や設計についてより知識を深め、将来はエンジニアになろうと、同工業高校系列の日本工業大学工学部に進学した。機械工学科で学ぶ傍ら、仲間と共に体力と頭脳の双方を駆使するアメリカンフットボールの面白さにのめり込んだ。

 3年の時、起業家を目指す学生のサークルに入り、会社経営への興味をかき立てられた。学んだ知識で会社を興そうと、卒業後は、社会経験を積みながら起業資金をためられる物流会社「佐川急便」に入社した。セールスドライバーとして東京都港区を担当し、迅速・確実・丁寧をモットーに信頼関係を築く佐川急便で、集配業務に励んだ。

 大企業の物流に携わることで、どんな物を動かし、どんな商売をしているのかなど多くを学んだ。5年勤めた佐川を退職後、妻の実家がある四日市に移り住み、妻とその親族と共に美容・健康関連の会社創業に加わったが、11年後に役職から退いた。

 その後、起業家向けの情報サイトで新電力会社イーレックスを知り、今後伸びていく業種だと確信して「SDコンサルティング」を起業した。学校で学んだ電気の知識と佐川急便時代に培ったセールス力を生かし、入会していた四日市青年会議所仲間の支援も得て、少しずつ顧客を増やした。

 電力会社切り替えの事務手続きだけで、年間の電気料金が節約できることを各企業担当者に説明して回った。母校の高校、大学でも提案し、契約に至った。「電気代が大幅に下がってありがたい」「知人の会社にも勧めてほしい」などの声が届き、やりがいを実感している。

 3年目には中部エリア代理店のトップ、全国1300の代理店中4位の実績を挙げ、社員を雇えるようになった。「ゼロからのスタートでうまくいかないことも多かったが、頑張ったことが評価されてうれしかった」と振り返る。

 地域の中小企業を中心に、電力をはじめ高圧受変電設備やエレベーターの保守点検にかかるコスト削減など、幅広い提案をしている。「地域社会の発展に寄与し、必要とされる企業を目指したい」と目を輝かせた。

略歴:昭和50年埼玉県生まれ。平成10年日本工業大学工学部卒業。同年「佐川急便」入社。同15年美容・健康関係会社創業に携わる。同22年四日市青年会議所入会。同26年「SDコンサルティング」創業。