顧客のイメージ形に 三重の偉人紹介映像制作 広告代理店「グライドデザインラボラトリーズ」社長 後藤新太郎さん

「地域の望む情報をより速く、より的確に伝えていける媒体を目指したい」と話す後藤さん=四日市市栄町で

 四日市市栄町の広告代理店「グライドデザインラボラトリーズ」は、平成23年に創業。ウェブサイトや広告、映像の企画・制作などを手掛けている。現在は、スタッフ3人とともにホームページやショッピングサイトのコンサルタント業務もこなし、北勢地域を中心に、県外にも顧客を増やしている。

 同市浜一色町で、2人きょうだいの長男として生まれた。幼いころは、近くを流れる海蔵川や三滝川で泳いだり、魚を追ったり、仲間と時間を忘れて遊んでいた。いつも真っ黒に日焼けし、真冬でも半ズボンで過ごす健康優良児だった。

 地元の小・中学校を出て県外の全寮制高校に進学したが校風になじめずに退学した。その後、猛勉強をして大学入学資格検定に合格し、グラフィックデザイナーを目指して、名古屋市の専門学校に3年間通った。デッサン、デザイン、色彩構成を基礎から学び、自身の感性でグラフィックアートをゼロから創作する喜びを知った。

 卒業後、名古屋市の企画会社に就職し、広告制作に携わった。数年後、市内でいち早くマッキントッシュ製のパソコンを導入した会社を見学する機会があり、衝撃を受けた。「これからはパソコンの時代だ」と確信し、パソコンを使っている広告制作会社を探して転職した。

 画面上で自由自在にイラストを描け、写真を思いのままに加工することができるパソコンに無限の可能性を感じた。独立を視野に、あらゆることを吸収しようと決意し、32歳までの10年間で5つの会社に勤め、経験を重ねた。

 フリーのグラフィックデザイナーとして、仲間のコピーライターらと共に事務所を持って働き始めたころ、交通事故に遭った。「入院、リハビリの2年間、常に付き添い、励ましてくれた両親への感謝は言葉では言い尽くせない」と振り返る。

 車椅子や松葉づえなしで生活ができるようになり、仕事に復帰できる喜びをかみしめながら、四日市に戻り実家で仕事を再開した。徐々に独立への情熱がよみがえり、準備を重ねて40歳で「グライドデザインラボラトリーズ」を起業した。「給料をもらう立場から、出す立場になり、経営者としての責任を実感した」と話す。

 「顧客のイメージを形にすること」と「新たな提案をすること」を社訓に掲げた。温泉旅館やレストラン、造園業、高齢者福祉施設などの映像の企画制作、社名や店名を象徴的に表現するロゴマークの作成、映像編集、ホームページ制作などに力を注いでいる。「イメージ以上の仕上がり」「丁寧にやってくれてありがとう」など、ねぎらいの言葉がスタッフの励みになっている。

 昨年、県が生んだ12人の偉人を映像で紹介する「実はみんな三重人なんです」を、1年掛かりで完成させた。また、名刺のデザイン事業にも進出し、自己紹介や企業紹介を、オリジナル漫画を通じてアピールする漫画名刺は、従来の名刺にはない斬新さで注目されている。

 「やりがいのある受託の仕事とともに、今後は、映像配信によって地域の望む情報をより速く、より的確に伝えていける媒体を目指したい」と意欲を語った。

略歴:昭和46年生まれ。平成3年トライデントスクール・オブ・デザイン卒業。同23年グライドデザインラボラトリーズ創業。同27年四日市商工会議所青年部入会。同年中部経済研究会入会。同28年中小企業家同友会入会。