猫好き高じ専用部屋 職場の癒し、業績向上も シンコーワ代表取締役 古市光明さん

「原点は『共に力を合わせ、共に成長する』こと」と話す古市代表取締役=菰野町のシンコーワ三重営業所で

 東海三県で交通信号機の新設、改良工事をはじめ、車両重量計測装置の設置や速度規制標識工事をしているシンコーワは、平成24年に本社を菰野町から名古屋市に移転した。現在は県内外4カ所に営業所を持つ。

 「子どもの頃から話し好きで、近所のおばさんたちに交じって、一緒に会話をするのが楽しかった」と屈託のない笑顔を見せる。「1人でいるのは苦痛。いつもみんなで和気あいあいと楽しくしていたい」と社交的で陽気なところは昔から変わらない。

 高校卒業後に就職した会社で、「一生懸命働いても働いていなくても給料が変わらないのは矛盾している」との思いを抱くようになり、20歳の時に自分で起業する決意をした。

 何をやりたいか見つけるために幾つかの仕事を経験する中で、「客を喜ばせようとする意識を持つことの大切さ」「商売のコツ」「情熱と熱意」を学んだ。培った教訓は今でも経営で生かされている。

 28歳の時、元取引先の会社から信号機工事の仕事を引き受けたことがきっかけで、友人と2人でシンコーワを立ち上げた。

 起業後は多忙を極め、「一生懸命過ぎて、ほとんど記憶が無い」と仕事に没頭する日が続いたが、次男が2歳の時に大病を患ったことで、子どもと向き合う大切さを実感。2歳年下の妻、真弓さんにはいつも感謝の気持ちを持ち続けている。

 息子の回復を祈願し、大好きだったたばこをやめた願掛けの効果か無事息子は健康を取り戻したが「それ以来怖くて今でもたばこは吸えない」と父親の顔を見せる

 猫好きの一面もあり、16年ほど前に会社の事務所(現三重営業所)で、1匹の猫を飼い始めたことがきっかけで、今では20匹以上に。事務所に専用の猫部屋も作った。猫たちは社内のアイドルとして従業員らにかわいがられている。「猫を飼うようになってから、不思議と業績が上向きになった」と話し、「猫の存在が職場の雰囲気を和やかにし、周りを癒やしているのかもしれない」と推測する。

 もちろん、好調な業績の理由はそれだけではない。「共に力を合わせて、共に成長する」という考え方を原点に経営に取り組んできた。「自分が苦手なことは、得意な社員に任せる。互いの長所を生かし、力を合わせてやっていくことが会社の発展には大切」と話し、「100年続けられる会社を目指したい」と先を見据える。

 子どもの頃からの夢は、小学校の卒業文集に書いた「世界一周旅行に行きたい」。5年後くらいをめどに、妻と2人でのんびりと船旅を楽しもうと、ひそかに計画を立てている。「いろんな世界を見てみたい」と話す好奇心旺盛な笑顔が、少年の頃の面影と重なった。

略歴:昭和37年生まれ。四日市市出身。平成3年シンコーワ設立、代表取締役就任。現四日市TENライオンズクラブ会長、三重北経営研究会副会長、全国交通信号工事技術普及協会常任理事。