日本企業の橋渡しに 思ったらすぐ実行、周囲に感謝も シャルマジャパン社長 シャルマ・ディラジさん

「日本とインドの橋渡し役になりたい」と話すシャルマ社長=鈴鹿市西条6丁目の「インド村」で

 シャルマジャパンは鈴鹿市西条6丁目のインド料理店「インド村」を経営。カレーをはじめ、インド特有のかまど「タンドール窯」で焼き上げるナンやタンドリーチキンなど、インド人シェフが本場の味を提供する。

 平成15年に日本国籍を取得した。「今は心から日本人」と流ちょうな日本語で話す。

 5人きょうだいの末っ子。一番上の兄、ヤシュパルさんとは19歳離れ、「兄や姉からかわいがられて育ったから、わがままな甘えっ子だった」と思い返す。
 
 高校生の時、「海外で働きたい」と思い始めた。ヤシュパルさんがインドの日本航空で働いており、写真を見たり、話を聞くことが多かった。「『日本はすごくきれいな場所で、日本人は優しくてよく働く』と聞いていたので、好印象を持っていた」

 「勉強より、自分で起業したい」と高校3年で退学。日本へ輸出する企業の税関手続きの仕事を始めた。「日本人スタッフと交流することもあり、日本語の勉強になった」という。

 もともと料理好き。インド料理店で修業を積み、料理を勉強。24歳で来日した。インド料理店の料理人として、四日市市内で働きながら、店舗運営の基礎を身に付けた。「生活にはすんなり溶け込めた。不安よりも、期待の方が大きかった」と振り返り、「今まで頑張ってこれたのは、周りのみんなに助けてもらったから」と感謝する。

 独立したのは32歳。「若者が多い」という理由で鈴鹿市で出店を決めた。市の印象は「都会というほどでもなく、住みやすいまち」。3店舗まで増やしたが、現在は2店舗を譲り、1店舗に力を注ぐ。

 「行動力があるタイプ。思ったらすぐ実行」と自己分析。「いろいろ失敗もするけど、いいこともある」と楽しげに笑い、「ベルギーに飲食店をつくる計画はうまくいかなかった」と苦笑する。

 2年前には母国にも会社を立ち上げ、新事業のスタートに向けて動きだしている。「両国の企業をつなぐ橋渡し役になりたい」と考える。

 ボランティアで地域イベントに参加し、母国の料理や文化を伝え、国際交流にも積極的に貢献している。「人と接することが好き。友達もたくさんでき、日本に来て良かったと思うから、インドのことも知ってほしい」と話す。

 鈴鹿商工会議所を通じて人脈も広がった。産学官交流会セイロンウリプロジェクトに参加し、セイロンウリを使ったメニューの提供もしている。

 「夢はインドで貧しい人のために学校と病院をつくること」と満面の笑顔を見せた。

略歴:インドニューデリー出身。昭和41年生まれ。平成10年シャルマジャパン設立。