倒産寸前から復活 社員だったホテルの運営も サノプランニング代表取締役 佐野貴信さん

「働くための環境づくりが経営者の役割」と話す佐野代表取締役=四日市市西新地のプラトンホテル四日市で

 四日市市西新地のサノプランニングは飲食店経営を中心とした事業展開のほか、関連子会社で同所のシティホテル「プラトンホテル四日市」を運営している。

 小学校から高校までは野球ひと筋、中学では野球部の主将も務めた。野球指導で有名な監督がいた工業高校に進学し、野球部に所属したが、そこで実力を知り、夢を断念。しかし、部内のコーチ陣としてチームのマネジメントなどを学んだ経験は、今も生かされている。

 20歳の時、親戚に誘われ、シティホテルでのアルバイトを始めた。「人と接するのは好きだったし、ホテル業への憧れもあった」ときっかけを話す。

 約半年後には正式に社員として入社。主に結婚式や宴会などの企画営業に携わる中で、ホテルマンとしての仕事の面白さにのめり込んでいった。

 一方で、「一流のホテルマンより、経営者になりたい」という思いが強くなり、25歳の時に「自分で会社をつくって経営者になる」と決意。

 念願かない、30歳で広告代理業を始めたが、信頼していた右腕の病死など、心身ともに大変な出来事に見舞われ、一時は倒産寸前まで追い込まれた。しかし、「最後に念願だった飲食店を」との思いで始めた店が軌道に乗り、現在は10店舗まで規模を広げ、順調に業績を伸ばしつつある。

 転機は平成23年。すでに以前勤めていたホテル内に飲食店を出店していたが、ホテルが売却されることになり、自身が買い取って、オーナーになった。「元社員としての愛着もあり、何とか残したい気持ちはあったけど、まさか自分が買えるとは夢にも思わなかった」と思い返す。

 テナントの一社長から、オーナーとして立場が一変。元従業員でもあり、「気持ちが手に取るように分かることはプラスだったり、マイナスだったり」と複雑な心境ものぞかせる。

 気分転換として、最近始めたのがダイビング。昨年、サイパンでライセンスを取得したことがきっかけで、すっかり海の魅力にはまった。

 「今年はホテルと各店舗、それぞれの実力をさらにアップさせていきたい。そのための環境をつくるのが経営者としての私の役割」と気持ちを引き締める。

略歴:昭和41年生まれ。四日市市出身。平成8年サノプランニング設立、代表取締役就任。現県中小企業家同友会北勢支部長、四日市法人会常任理事、四日市西ロータリークラブ国際交流委員長など。