人に生かされている 先代の教え、大切に受け継ぐ 富久鐵工所代表取締役 小林正孝さん

好きな言葉は「己に忠実であれ」と話す小林代表取締役=いなべ市員弁町の自宅で

 いなべ市員弁町の富久鐵工所は昭和33年、義父の久男さんが創業した。事業内容は、繊維機械部品や建設機械部品などの精密加工が中心。現在2代目となる。

 音楽好きだった兄の影響で、幼少のころから音楽に親しんできた。30代のころには2年間ほど名古屋市のアマチュア合唱団に所属し、ベートーベンの「第九」を歌ったこともある。

 独学で始めたフルート演奏も、約3年前から本格的に学び始め、現在は週1回の練習に通う。昨年は発表会にも参加し「レパートリーが少しずつ増えてきた」と楽しげな笑顔を見せる。

 モーツァルトが好きで、結婚15年記念のヨーロッパ旅行で墓参りをした時は、「感無量で涙が出てきた」と懐かしそうに振り返る。

 自宅の書斎には、これまでに録画してきたオーケストラ演奏などのビデオテープが350本以上並ぶ。貴重な映像の数々が、自慢のコレクションの一つとして大切に保存されている。

 妻の友子さん(59)とは28歳の時に結婚。2人は遠い親類関係にあり、友子さんいわく、「実は父が昔から、正孝さんの人柄を『まじめで正義感が強い』と気に入っていた」と、こっそり教えてくれた。

 義父の後を継ぐため、31歳で鐵工所の仕事を始めた。初めてのことばかりだったが、「手を掛けたら形になるという変化が面白い。作った物が使われているということで、張り合いもある」と次第にやりがいを感じるようになった。

 義父の「従業員を大切に」という教えは今も大切に受け継がれ、「家庭的な職場」をモットーとしている。「『人さまによって生かされている』ということを忘れてはいけない」と穏やかにほほ笑む。

 友子さんとは仕事面でもよきパートナーとして、二人三脚でここまできた。「明るくて一生懸命なところが魅力。いつも健康を気遣ってくれて、感謝している」と日頃の労をねぎらう。たまの息抜きは、「2人で出掛けるオペラやオーケストラのコンサート」と仲むつまじい。

 長年、忙しい合間を縫いながら、交通安全協会でのボランティア活動にも尽力してきた。子どもたちへの登校時の交通街頭指導や、交通安全イベントへの参加など、休日返上で熱心に取り組む。「少しでも事故が減らせれば」との思いは昔から変わらない「事故が起こってからでは取り返しがつかない」と熱く語る

 好きな言葉は「己に忠実であれ」。マイペースな一面もあり、「無理はしてはいけない」と話す。もちろん、時には夜を徹して仕事をするときもあるが、バランスの取れた生活を心掛けている。健康維持のため、数年前から水泳も始めた。

 「時間ができたら、ピアノの勉強をして作曲がしてみたい」と音楽への尽きぬ思いが、そっと顔をのぞかせた。

略歴:昭和23年生まれ。いなべ市出身。昭和62年富久鐵工所代表取締役就任。県交通安全協会副会長、いなべ地区交通安全協会会長、桑名法人会組織委員会副委員長。