一番愛される銘柄に 数字追う仕事「逆に燃える」 キリンビールマーケティング三重支社長 山口和子さん

「褒められるとやる気になるタイプ」と話す山口支社長=津市本町の伊勢新聞社で

 キリンビールマーケティング(本社・東京都中野区)は、キリングループの営業販売部門として設立。三重支社は名古屋市にあり、三重県全域で自社商品の営業活動を展開している。

 今月1日、三重支社長に就任した。「三重の皆さんに、1番愛されるビールになることを目指して、頑張っていきたい」と抱負を語る。

 繊維問屋を営み、忙しい両親に代わって小学1年生の頃から家事をこなし、3年生からは「晩ご飯係」も務めた。「買い物には3歳くらいから行っていた」と懐かしむ。「家にある料理の本を見るのが好きだったから、いろいろ作った」。いつの間にか料理の腕も上達した。

 「褒められるとやる気になるタイプなので『助かってる』と両親に言われるのがうれしくて、頑張っていた」と話し、「今でも、提案した成果が出てお客さまに喜んでもらえた時が一番うれしい。そういうところは変わっていないのかも」と笑う。

 活発な性格で、クラス委員を務め、中高時代は剣道部で活躍。初段で主将も務めた。大学卒業後は、キリンビール東北支社でマーケティングを担当。営業と一緒に得意先の経営支援に携わった。「注文がまだ電話やファクスの時代だったから、コンピューター化していく仕組みをつくる仕事。毎日面白かった」と話し、「物流のことなど幅広く勉強したので、この時の経験が今、役に立っている」と振り返る。

 営業職は30歳を過ぎてから。分からないことばかりだったが、「お客さま目線で」という部分を大切にしながら、試行錯誤を重ね、独自のスタイルを確立した。

 営業は厳しい数字の世界だが、「逆に燃えるタイプ」という。「目標をどう捉えるか。ノルマと思うとやらされている感がある。必ず前を向いて、どうしたらできるか、最善策を慎重に考える」と話す。「その時うまくいかなくても、タイミングが悪かった、やり方が間違っていたと思うだけ。再チャレンジすると案外うまくいったりする」と前向きだ。

 初めて支社長になったのは41歳で、最年少での就任だった。「責任の重さ」を実感しながらも、やりがいも大きかった。「地域にしっかり根付かせてもらい、うれしいときも悲しいときも、いつもそばにある『キリン』でありたい」と願う。  「メールやSNSが広まっても、じかに話すことは大切。アルコールは人と人との潤滑油。コミュニケーションのツールとして大いに役立つ」と熱く語った。

略歴:昭和43年生まれ。静岡県浜松市出身。平成3年にキリンビール入社、静岡支社販売促進部などを経て、21年にキリンビールマーケティング九州統括本部佐賀支社長、26年から中部圏統括本部三重支社長。