▼志摩市と南伊勢町で11月9日に開幕する「全国豊かな海づくり大会~美(うま)し国みえ大会~」に向け、県庁玄関ホールにカウントダウンボードがお目見えした。両市町はPR用のユニホームとエコトートバッグをお披露目し、気運が高まる
▼大会名称の「美し国」は日本書紀に出てくる。天照大神が「(伊勢国は)可怜(うま)し国なり」と言って伊勢神宮が定まる
▼海産物との結びつきは万葉集に歌われ、「伊勢の海女の朝な夕なに潜(かづ)くといふ鰒(アワビ)の貝の片思(かたもひ)にして」(巻第11・二七九八番)がある。海女が潜って捕るアワビのように、私の恋は片思いのままで…と嘆く
▼アサリやハマグリの二枚貝はぴたりと合わさる一方、アワビは二枚貝の片方が欠けているように見える姿から、「片」思いに掛けている
▼海底の岩に密着しているアワビは巻き貝。実際は一枚貝なので、寂しい歌が一層悲しくなるというふうに観賞するのかどうか。片思いの代名詞にされたアワビは迷惑だろう。「物に寄せて思いを陳(の)べる歌」の一つ
▼大会テーマ「受け継ごう 命あふれる 清い海」は五七五音で明るい。豊かな水産県を引き継ぎたい。