
三重県議会2月定例月会議は27日、石垣智矢(自民党、2期、いなべ市・員弁郡選出)、藤根正典(新政みえ、4期、東紀州)、東豊(草莽、4期、東紀州)、今井智広(公明党、5期、津市)の4議員が一般質問した。防災対策部は沿岸部の19市町で、津波発生時に住民の生命に危害が生じる恐れのある「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」を指定する考えを示した。来年度中に指定区域の案を策定し、令和8年度中にも指定する方針。東議員への答弁。
子育て補助金の成果は
石垣 智矢議員(自民党)
子育てを支援する市町の創意工夫を引き出すことなどを目的として、県が令和5年度に導入した補助金の成果を尋ねた。県は導入からの2年間で110件の事業を採択したと報告した。
【補助金】
石垣議員 地域の実情に合わせた市町の独自事業を支援する「みえ子ども・子育て応援総合補助金」は、令和5年度に一見知事の肝いりで始まった。開始から2年が経過ようとしているが、これまでの成果は。
枡屋子ども・福祉部長 全ての市町が活用し、これまでに延べ110件の事業を採択した。子どもの居場所づくりなど、地域の実情に応じた独自事業が創出されている。引き続き補助金を通じて市町が抱える課題への対応を支援する。
【空き家】
石垣議員 県の「空き家率」は16・3%で全国19位。戸数は25年間で1・7倍となった。県は地域活性化に向けて空き家を店舗などにリフォームする工事への補助を本年度から始めたが、取り組みの状況は。
佐竹県土整備部理事 市町の空き家対策を支援する補助事業を実施してきたが、本年度は地域活性化施設への活用も補助の対象に加えた。伊賀市の古民家ホテルと南伊勢町の多目的施設への補助を予定している。活用の事例を共有したい。
震災孤立対策どう推進
藤根 正典議員(新政みえ)
能登半島地震の教訓を踏まえた南海トラフ地震の孤立地域対策について尋ねた。防災対策部は孤立が想定される202カ所を中心に、通信環境などの実態調査に着手する考えを示した。
【半島防災】
藤根議員 能登半島地震を受け、半島防災という言葉が使われるようになった。政府は3月に期限を迎える半島振興法の延長や改正を視野に、半島防災の強化を盛り込む方針と報道されている。知事の認識は。
知事 5つの観点で半島での災害に対応しなければならない。1つは道路ネットワークの強化。空路や海路での救助、支援も考えなければならない。海保や自衛隊との連携も重要。もう一つは情報孤立を防ぐこと。物資の備蓄も大事。
【孤立地域】
藤根議員 能登半島地震では多くの孤立地域が発生した。南海トラフ地震発生時、県内では202カ所で孤立が発生すると想定されている。その多くが南部。対策には市町との連携が重要。どう進めるのか。
楠田防災対策部長 孤立が想定される202カ所を中心に実態調査を進める。通信環境やヘリ発着場の状況などを市町と共に調査し、結果を地区ごとに台帳としてまとめる。ドローンによる物資輸送のガイドラインも作成する。
地域機関の強化を提案
東 豊議員(草莽)
県の地域機関について「市町との関わりが希薄になったとの声を聞く」と指摘し、権限の強化や組織体制の見直しなどを提案。一見知事は「待っているのではなく、市町に出向いて話す地域機関にしたい」と述べた。
【警戒区域】
東議員 県は津波災害警戒区域を指定する作業の費用を来年度予算に計上した。指定にはメリットとデメリットがある。地価の評価などに影響する可能性がある。指定に向けた取り組みと具体的なスケジュールは。
楠田防災対策部長 指定後は社会福祉施設や病院、学校などに避難確保計画の作成と訓練が義務付けられる。来年度は沿岸の19市町を対象に警戒区域の案を策定する。令和8年度には住民への説明などを行い、指定を完了させたい。
【地域機関】
東議員 県の地域機関と市町の関わりが希薄になったとの声を聞く。もっと多くの権限と予算を持たせるなどし、地域機関が主体的に取り組めるようにする必要がある。住民にとって身近な存在にすべき。
知事 市町の数が減ったり、道路ができたりして本庁と市町の距離は縮まったが、地域機関は依然として重要。地域に寄り添い、顔の見える関係を構築しなければならない。待っているのではなく、市町に出向いて話をしてもらいたい。
入札制度の見直し要請
今井 智広議員(公明党)
近年の物価高などを受け、公共工事の入札制度を見直すよう要請。県土整備部は建設業者が等級に見合った入札に参加できるよう、6月にも「発注標準」を見直す考えを示した。
【入札制度】
今井議員 昨年9月の一般質問で、物価高に対応した入札制度への見直しを求めた。総合評価方式の入札では、地域機関が実施した技術提案への審査を対象にサンプル調査するよう提案した。検討の結果は。
佐竹県土整備部理事 発注標準や発注方法の取り扱いについて、建設業界の意見を聞きながら見直しに向けた検討を進めている。6月に改正する予定。総合評価方式でのサンプル調査も試行している。令和7年度から運用する予定。
【救命教育】
今井議員 県は令和7年度当初予算案で、ドクターカーを導入する三重大付属病院を支援する費用を計上した。導入により、どのように救急医療体制を充実させるか。ドクターヘリのバージョンアップも図るべき。
松浦医療保健部長 ドクターカーはドクターヘリを運航できない悪天候時の活躍が期待される。導入を通じて3次救急の充実に努める。ドクターヘリの大型化はコストの増大や離着陸場の制約など、課題も踏まえて検討する必要がある。