2025年2月17日(月)

▼新年度の県予算案を巡る「検証・県予算」の連載企画3回が終わった。テーマは「人件費」「公共インフラ」「プロモーション」。重点配分したという▽南海トラフ地震対策▽子育て支援▽人材確保対策▽インバウンド(訪日観光)振興などについて、具体的事業が取り上げられなかったのが今年の特徴か

▼例えば、昨年の企画である。「特殊詐欺対策、7年ぶり1千万円超え」「(公共事業)破格の1200億円超え」「防災アプリ開発、外出先でも避難促す」―。県民生活に密着し、それぞれの課題に向き合う県の姿勢が明確だった。今年は“内向き”の問題が中心。“中2階”と比喩され、総務相の県不要論が飛び出すなど、県の施策と県民の生活・関心とが離れていく懸念がある

▼一見勝之知事は総務相発言に対し「都道府県の役割は大きい。早々になくなることはない」と反論した。人口減少対策で国に要望したり、市町を支援している、とも。もっともだが国民、県民の琴線にどれほど響いたか。歴代知事が試みてきたように国の施策、指導がいかに地方の実態とかけ離れているか、具体的に提示することも一つの方法ではないか

▼連載企画で、一見知事の方針なりコメントが一つも引用されないというのも珍しいことである。県民の関心事に県政のトップが関わるのを避けている、あるいは無関心であるとも誤解されかねない。重点配分と本紙企画が唯一、交わるのが「プロモーション」だが、キャッチフレーズや車内広告で発信していくという。企画力の貧困を感じさせる。