認知症高齢者の捜索訓練 御浜町徘徊SOSネット活用し 三重

【ダミー徘徊者に声をかける住民=御浜町下市木で】

【南牟婁郡】行方不明になった認知症の高齢者を捜索する模擬訓練が28日、三重県御浜町の市木地区一帯であった。町職員や紀宝署員ら約40人が参加し、情報伝達や各機関の連携を確認した。

町によると、役場や同署らが行方不明者の情報提供を呼びかける「町徘徊(はいかい)SOSネットワークシステム」を活用し、住民らと地域ぐるみの見守り体制を構築しようと、平成21年に始めた。

訓練は、上市木地区の若年性認知症患者が行方不明になったと想定。同町上市木の上市木公民館に本部を置き、無料通話アプリ「LINE」のオープンチャットなどで各機関が情報共有した。

行方不明者の家族から役場に連絡が入ると、同署や町消防団らに情報提供。本部を立ち上げ、地図を使って各機関の捜索範囲を決めた。町は住民らにも防災無線で発見時の通報を呼びかけた。

その後、行方不明者役1人とダミー徘徊者2人が地区を歩くと、見かけた住民らは「どこから来たの」などと優しく声をかけた。約1時間で13件の通報があった。署員や消防団も捜索した。

訓練後の講評で、大畑覚町長は「皆さんは道路で終始しがちだが、徒歩での捜索は川や畑も範囲に入れる必要がある。訓練を継続し、行方不明者が出た際に経験を生かしてほしい」と話した。

同システムを活用した捜索活動は、運用を始めた平成21年以降、町内で18件あった。同システム発動時、生活協同組合コープみえや三重交通ら37事業者にも情報提供を呼びかける。