
三重県の児童虐待防止対応検討会議は21日、津市で母親(42)の暴行を受けた三女=当時(4つ)=が死亡した事件の再発防止に向けた具体策をまとめた。通園や通学をしていない児童については見守りの頻度を引き上げるなどし、安全確認を徹底する方針。
県によると、児童相談所が関わる児童が保育所や学校に通っていない事案のうち、見守りの頻度を「3カ月に1回以上」としているケースを「1カ月に1回以上」に引き上げる。現時点で約60件が対象となる。
三女が保育園に通わなくなっても児相が対応を再検討しなかったことを踏まえた対応として、家庭などの状況に変化が生じた場合はリスクを再評価する。「変化に応じた対応を速やかに判断する」としている。
今回の事案を題材にした研修の実施など、職員の対応力を高める対策も明記。関係機関でつくる要保護児童対策地域協議会での情報共有を徹底するするため、専用のチェックリストを使うことも盛り込んだ。
このほか、11日の会議でまとめた再発防止策で使った「目視の徹底」を「対面による観察の徹底」に改める。「児童を目で見るだけではない」(一見勝之知事)とのニュアンスを強調する狙いという。
県は11日の初会合で、目視による児童の安全確認を徹底することなどを盛り込んだ再発防止策をまとめていた。21日の会議では、より具体的な対策を確認した。対策の多くは8月から実施する予定。
一見知事は会議後の定例記者会見で「虐待を受けている子どもの状況を的確に観察し、対応を判断できるようになる」と再発防止策の効果を強調。「研修も子どもを守ることにつながる」と述べた。
現状で151人とされる児相の人員については、10年ほど前から増やしてきたことに触れつつ「必要に応じて増員もあり得る」と説明。一時保護施設を拡大する必要性について検討する考えも示した。