三重大野球部4年生4人、投打で奮闘、絆の強さも

【四日市大―三重大、四回裏2死から特大の左飛を放った三重大・吉田。ベンチのナインに迎えられ笑顔=2日、安濃球場で】

三重学生野球リーグの春季リーグ戦(東海地区大学野球連盟主催、伊勢新聞社など後援)が1日、開幕した。加盟校5校のうち2017年春以来の優勝を目指している三重大は硬式野球部の4年生が4人しかいない。四日市大との2連戦を落とした開幕週は、新型コロナウイルスの逆風の中、4年間苦楽をともにした4年生全員がスタメンに名を連ね、投打で奮闘した。

少数精鋭の野球部にあって、突出して人数の少ない学年だ。「遊びに行っても4人とかが多い。仲は良いとは思います」。主将を務める釜田尚真内野手(愛知・知立東)の言葉からも絆の強さがうかがえる。

入学時期をコロナの第1波が直撃した。休校や対面授業の中止などで4人全員の野球部登録が完了したのは入学から半年以上が経過した21年上旬。第1波の後、部活動が再開した20年7月、「最初から野球をやると決めていた」玉越暖基外野手(愛知・桜台)と吉田崚真内野手(愛知・名古屋)がまず最初に入部の手続きを済ませた。

その年の秋、教育学部の実習で玉越と親しくなった吉村将太朗投手(津西)が野球部の練習に参加。同時期に練習を体験した釜田とともに21年の年明けから野球部に加わり、同学年の4人が顔をそろえた。

コロナ禍の制限で人とのつながりがつくりにくい中、気の置けない同期と好きな野球に打ち込む時間はかけがえのないものになった。オンライン授業が続く20年7月、部活動に合わせ、一足早く三重で下宿生活を始めていた吉田は「部活があったおかげで人との関わりができた」。

最上級生の立場で迎える今年の春。大学2年目から経験を積む吉村は主戦投手、釜田は3番打者、玉越は4番打者の重責を担う。少ない投手陣で獅子奮迅の活躍を続けてきた吉村は昨年春、待望の投手経験者を複数迎えて、投手リーダーとして「いろいろアドバイスしている」とうれしそうに話す。

同期の活躍に刺激を受けて吉田も今月、入学後初のスタメン入り。1、2日に津市内で行われた四日市大との2試合に8番、一塁手で先発出場した。2日間トータルの成績は6打数無安打だったが、安濃球場で行われた試合では左翼へあわや本塁打の大飛球を見せ、ベンチの仲間に笑顔で迎えられた。

教員採用試験の準備もあり今季で引退する予定。4年生4人が一緒に野球をするのもこの春が最後となる見込みだ。最後のシーズンに向けてバットを振り込んできたという吉田は2週目以降の巻き返しに向け「負けを引きずらない。自分も活躍してチームを勝たせたい」と闘志を燃やした。