二見浦小と二見中、同一校舎が完成 伊勢市初 津波想定で高台に

【高台に完成した二見浦小・二見中の新校舎=伊勢市二見町光の街で】

【伊勢】南海トラフ巨大地震の津波被害が想定される海岸沿いから、高台に移転する三重県伊勢市二見地区の二見浦小学校と二見中学校の新校舎の完成式が19日、開かれた。市内で初めて、同一校舎に小中学校が併設された。4月から、約550人の児童生徒が新しい校舎での学校生活をスタートさせる。

新校舎は、同地区で高台にあたる海抜約15メートルの同町光の街に建設された。鉄筋コンクリート3階建てで、1、2階に小学校普通教室や多目的室などが、3階に中学普通教室などが入る。家庭科室など特別教室の一部や職員室、体育館などは共通。小中学生が交流できるスペースなども設けた。同一校舎の利点を生かし、小中教員が連携することで、生徒指導や学習指導の充実を図る。また、地域の災害避難所として、7千人分の物資を備蓄する防災倉庫やマンホールトイレなども整備した。

隣接地には、二見地区の二見浦、五峰保育園と、先駆けて閉園した高城保育園の統合園として4月に開園する「ふたみ保育園」の新園舎も建設された。小中学校と保育園を合わせた総事業費は、約50億円。

完成式は、地元や市の関係者ら約100人が出席。鈴木健一市長は「一つの校舎で児童生徒が学ぶ新しい形の学校。高台で子どもらの安全安心を確保し、地域の防災拠点としても大きな役割を担う。子どもたちの学びの中心として地域に愛される場所になることを願う」とあいさつした。

【完成式で生徒児童代表あいさつに立つ二見中の川端さん(左)と二見浦小の角田さん=伊勢市二見町光の街で】

続いて、児童生徒を代表し、二見浦小5年角田彩夏さん(11)と二見中2年川端七衣さん(14)が壇上に上がり、「津波の心配なく安心して勉強できる。たくさんの思い出をつくっていきたい」、「小中学生が一緒になって勉強やスポーツを通じていろんな経験し、新しい歴史の一歩を始めたい」と述べた。