「交流こそ地域公共交通の役割」 伊勢新聞政経懇話会で松本名城大教授講演

【伊勢新聞の政経懇話会で講演する松本氏=津市大門の市センターパレスホールで】

伊勢新聞政経懇話会3月例会が15日、津市大門の市センターパレスホールであり、名城大理工学部社会基盤デザイン工学科教授の松本幸正氏が「地域公共交通の役割とこれから求められる姿」と題して講演した。「交流こそが地域公共交通の真の役割だ」と述べ、公共交通を単なる移動手段としてでなく、住民が交流するための装置として捉えることが重要だとした。

松本氏は、鉄道などの公共交通機関の利用が多い大都市圏に比べ、地方都市圏は約6割が自動車利用している現状を指摘。脱炭素社会の実現や、人口減少など社会の変化により、自動車依存から脱却する必要性を示した。

一方、60%以上の人が後期高齢者になっても運転を続けているなど、自動車利用の人が運転をやめることが困難な状況も指摘。ただ、高齢が進むほど、運転をやめた後にバスや鉄道を利用することが難しくなって生活の質が低下する傾向にあり、比較的若いうちに少しずつバスなどを利用した方が生活の質が維持できるとの調査結果も報告した。

自動車依存から脱却し、公共交通を利用促進するために求められる役割としては、どこでも好きなときに乗ることができる移動の保障や、渋滞の解消、エネルギー消費の削減など移動の効率化を提示。

その上で、公共交通の利用を増やすことで、駐車場のスペースを店舗に変えるなど「にぎわいの創出」も可能だと強調。単なる移動手段だけでなく、交流の場の提供など間接的な役割も果たしていくと強調した。

松本氏は「地域の公共交通を交流の装置とすることで、魅力ある住み続けたくなるような街づくりを行うことができる」と呼びかけた。

松本氏は名古屋工業大大学院工学研究科博士前期課程を修了し、平成19年から現職。専門は交通工学・都市計画。県都市計画審議会長、津市地域公共交通活性化協議会長なども務め、地域における計画策定や課題解決にも貢献。