大紀町民ら、土器など修復 地域で出土、錦支所に展示 三重

【土器や鉄剣の修復作業に取り組む町民ら=大紀町役場錦支所で(西村さん提供)】

【度会郡】三重県大紀町の町民らが公民館講座の一環として、錦地区で出土した土器などの修復作業に取り組んでいる。町の考古資料を後世に残そうと、これまでに弥生時代から鎌倉時代のものとされる約40点を修復し、町役場錦支所に展示している。

熊野灘に面した錦地区は、神武天皇東征の上陸地として日本書紀に登場するほか、邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡から出土した土器と同じ土質の土器の破片が見つかるなど、歴史ある地域。

土器や鉄剣なども数多く出土しているが、中には一部が欠けているものもあるため、「できるだけ当時の形に復元したい」と、同町の地域おこしグループ「戸畔(とべ)の会」が公民館講座で修復作業ができるように町に呼びかけ、令和元年から皇學館大学の岡田登名誉教授の指導の下、町民ら約10人が活動を始めた。

【修復した土器を紹介する西村さん=大紀町役場錦支所で】

同会代表の西村元美さんは、「貴重な土器に触れることができてうれしかった。作業をしながら新たな発見もあり、わくわくする」と話す。錦支所で行う修復作業では、皿やつぼなどの欠けた部分を合成樹脂で補い、サンドペーパーで磨いたり、水彩絵の具で色付けしたりするほか、ばらばらになっている鉄剣も、破片を並べて元の形に近づけていくという。

本年度の講座は3月で終了し、1年間の休みを経て令和六年度に再開予定。西村さんは「土器を使っていた人、見つけた人、修復した私たちがつながっている。残っている土器も岡田先生に教えていただきながらみんなで修復し、未来につなげていきたい」と話した。