家事援助で市町に補助金 県ヤングケアラー解消 県議会一般質問

【(右から)一般質問する日沖正信議員、服部富男議員、中村進一議員=県議会で】

三重県議会は3日、日沖正信(新政みえ、6期、いなべ市・員弁郡選出)、服部富男(自民党、5期、三重郡)、中村進一(新政みえ、7期、伊勢市)の3議員が一般質問した。子ども・福祉部は家族の世話をする子ども「ヤングケアラー」の解消に向け、家事援助サービスを提供する市町に補助金を支出する方針を示した。県が費用の4分の3を補助する予定。来年度中の制度化を目指す。服部議員への答弁。

半導体発展への方針は

日沖 正信議員(新政みえ)

国内回帰が進む半導体産業の発展に向けた県の方針を尋ねた。一見知事は「これまでは人材育成が弱かった」とし、2日付で設立した「みえ半導体ネットワーク」を軸に取り組みを強化すると説明した。

【半導体】

日沖議員 半導体産業の国内回帰が進められ、今後の動向が注視されている。県内にも強みはあるが、人材の育成が確保が課題。県は今後の半導体産業をどのように見通しているのか。半導体産業の発展に向けた知事の考えは。

知事 日本は半導体産業の地政学的リスクが低く、発展が期待される。県内は生産に必要な水、電気、人がそろっているが、人材の取り組みが弱かった。みえ半導体ネットワークを立ち上げた。ものづくり県としての実績を生かし、これまで以上に取り組む。

【危機管理】

日沖議員 県は1月に起きた異常寒波に伴う断水や鳥インフルエンザへの警戒など、あらゆる危機に対応している。危機管理統括監は、みえ防災減災センターの設置や地震の行動計画策定などに尽力してきた。危機管理への思いは。

日沖危機管理統括監 豚熱では迅速に対応し、軽石や鳥インフルエンザ、断水などの対策本部も設けてきた。平時から最悪の事態を想定し、アンテナを張ることが大切。特に庁内での意思疎通や情報の取り扱い、初動が大事だと自分に言い聞かせながら取り組んできた。

亀山の道路網整備を要請

服部 富男議員(自民党)

リニア中央新幹線の全線開通を見据え、県内駅が設置される見通しとなっている亀山市を中心に道路網を整備するよう要請。一見知事は「高速道路との交通量の分担など、道路網について考えなければならない」と述べた。

【ヤングケアラー】

服部議員 県が本年度に実施した調査では、県内にヤングケアラーと思われる子どもが少なくとも155人いることが分かった。家庭のプライバシーに入りきれないなど、対応が難しい問題だとは思うが、調査結果を受けた対応は。

中村子ども・福祉部長 来年度はヤングケアラーの認知度向上に向けてフォーラムを開き、県民に理解を深めてもらう。市町の職員などを対象とした研修も行う。さらに、支援のニーズが高い家事援助サービスを提供するため、市町への補助金を新たに設けたい。

【リニア】

服部議員 リニアの名古屋―大阪間は2037年の開業を目指しているが、県内駅が設置される見通しの亀山市を中心に道路ネットワークの整備も進めてほしい。特に国道306号のバイパスを整備する必要があると考える。

知事 国道306号は江戸時代に巡検街道だった。大学時代は行き違いもできないぐらい狭かった。今は改善しているが、中には狭い部分もある。リニア開通を見据え、高速道路との交通量の分担など、道路網について考えなければならない。

知事の原発見解を問う

中村 進一議員(新政みえ)

「原発回帰」を打ち出した岸田政権や地域を分断した芦浜原発計画について紹介した上で、原発に対する知事の見解を尋ねた。一見知事は「今も、そしてこれからも原発は要らない」と答弁した。

【原発】

中村議員 岸田内閣は原発の新増設を認めるなど、原子力政策に大きくかじを切った。福島原発の被害を受けた住民の多くは、まだ帰れていない。芦浜原発は賛成派と反対派が対立し、地域を分断した。原発新設に対する知事の見解は。

知事 昨年5月に福島原発を視察した。ものすごい労力で復旧しなければならない。原子力災害が起こると大変なことになる。芦浜原発の白紙撤回は正しい判断だった。電力は逼迫(ひっぱく)しておらず、観光立県を目指す県には今も、そしてこれからも原発は要らない。

【平和】

中村議員 ロシアとウクライナの戦争が日本に影響を与えている。防衛費の引き上げを示すなど、政府は安全保障政策を転換しようとしている。戦前に戻るのではという危機感がある。戦後80年を前に、自治体が平和の取り組みを進めるべき。

安井戦略企画部長 どのように情勢が変化しようとも、平和な社会を引き継ぐことが責務。限られた予算だが、戦後から節目の年に規模を拡大して記念事業を実施してきた。戦後80周年を迎える令和7年度も、市町や民間と連携して啓発や記念事業を実施する。