<検証・県予算>人口減対策 繰り返す調査と分析 「実行」はいつ?

【人口減対策を進める県庁=津市広明町で】

昨年を「人口減少対策元年」と位置付け、今年は「計画を実行に移す」と掲げる三重県。令和5年度の人口減少対策で目玉となるのは「人口減少対策広域コーディネーター」(仮称)を配置するという新たな試みだ。

コーディネーターはワークショップなどを通じて住民から地域の課題などを聞き取り、県に伝える役割を担う。効果的な対策を講じるための検討にも協力する。県は南部に4人配置することを想定している。

昨年4月に新設した人口減少対策課の職員らが地域を巡り、住民から話を聞いて練り上げた事業らしい。移住と定住の促進や働く場の確保など、人口減を抑える「実効性のある取り組み」につなげたいそうだ。

事業費は1991万円だが、その効果はいかほどか。コーディネーターの人数は多いとは言えず、配置する地域も南部だけ。昨年は人口減を「最重要課題」と位置付けていた割には、いささか控え目な印象だ。

「うちだけが人口減対策を担っているわけではないですよ」と担当者。そういえば、同課は全庁の人口減対策を束ねるための組織だった。それでは、同課が具体的に何をするのかと聞けば「調査と検討」だという。

確かに同課に関連する令和5年度当初予算は、調査や検討の費用が多くを占める。人口減に関するデータの収集と分析に895万円、市町と共同で調査や事業の検討を進める費用に437万円を計上した。

ただ、県は人口減に関する調査と分析を昨年も実施していたはず。委託したのは都内にある大手の民間シンクタンク。企画提案コンペに応募した3社から選んだ。同社への委託費は総額で1280万円に上る。

県内から大都市圏に転出した約600人の若者を対象に実施したアンケートや国勢調査の結果などを基に、自然減と社会減の双方から人口減の要因を詳細に分析した。分析結果をまとめた報告書は170ページに及ぶ。

にもかかわらず、なぜ調査を重ねるのか。担当者は最新の国勢調査に関するミクロデータ(調査票情報)が当時は公表されていなかったなどと説明。「最新のデータを使い、より深掘りする必要がある」と訴える。

ところで、県は令和5年度の事業に昨年の分析結果をどう反映させたのか。「今すぐ具体的にと言われると難しい」と、担当者は困った様子。施策のエビデンス(根拠)を構築する間にも、人口は着実に減っていく。