いなべ市一般会計239億円 新年度当初予算案 三重

【いなべ】三重県いなべ市は16日、新年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比7・6%増の239億7千万円。21日開会の市議会3月定例会に提出する。

温水プールや観光施設の整備には、国からの交付金や元利償還費が交付税措置される有利な起債を充当するほか、特別交付税の交付対象となる支援員や外部人材の派遣など補助制度を有効に活用し、地域の活性化と次世代につながる投資的予算を盛り込んだ。

歳入では、市税は前年度比0・1%増の88億8700万円。歳出では、給食費無償化、高齢者福祉施設整備事業、笠間保育園再建事業を行うため民生費が2億4千万円増。観光施設整備事業、野遊び推進事業を行うため商工費が8億7千万円増。温水プール建設事業、給食費無償化に伴い学校給食管理事業を行うため教育費が4億9千万円増。

市は企業誘致に力を入れ、自動車産業を中心に雇用と税収を生み出し、産業基盤を形成してきたが、今後は企業のデジタル技術や社会貢献活動と連携した新事業を始める。土地開発の経験を生かし、空き地や空き家を活用した住宅開発を促し、少子化が進んでいる地域の土地や建物の流動化を促進する。

さらに豊かな自然や風土を生かした「山辺の暮らし」を発信し、キャンプ場の整備や野外体験など体験できるグリーンインフラの整備を計画している。

また政府が提唱する子育て支援策以外に、現在は暫定的に実施している保育園と小中学校の給食費の無償化を、下水道使用料の見直しで捻出する新たな財源を基に恒久化し、少子化対策と保育士や教職員の業務負担の軽減を兼ねて進める。

いなべ市の主な事業は次の通り。

◆自治体DX推進事業(2054万6000円)
国の交付金を活用し、子育てに必要な情報を行政や関係機関と共有できる体制整備。

◆員弁健康センター解体工事(5000万円)
公共施設等総合管理計画に基づき解体。

◆北勢福祉センター解体工事(1億3200万円)
公共施設等総合管理計画に基づき解体。

◆十社放課後児童クラブ室整備事業(7260万円)
旧十社幼稚園を十社放課後児童クラブ室に改修。

◆野遊びSDGs推進事業(1億121万7000円)
自然や風土を堪能出来る野遊びリゾートを展開するための拠点施設整備。

◆三里保育園設備改修工事(2948万7000円)
照明器具のLED(発光ダイオード)化、雨漏り修繕、建具改修、トイレ改修などの工事費用の一部を補助。

◆常備消防車両更新事業(3405万7000円)
北分署の高規格救急車を桑名市消防本部車両検討会の更新計画に基づき更新。

◆消防団車両購入事業(2139万円)
藤原第1分団のタンク車を消防ポンプ付き自動車に更新。

◆石榑保育園設備改修工事(2881万8000円)
トイレ改修、乳児保育室の床暖房設置などの工事費用の一部を市社協に補助。

◆市民温水プール建設事業(11億394万2000円)
天候に左右されず年間通して利用可能な屋内温水プール建設工事を行う。

◆温水プール送迎用スクールバス購入(3600万円)
温水プールへの送迎のためにスクールバスを4台購入。

◆笠間保育園再構築事業(4973万3000円)
火災で焼失した笠間保育園の備品購入と新園舎の設計業務に着手。

◆宇賀渓キャンプ場レストラン整備事業(4億20万4000円)
来訪者に対して地域の食材を使った食事の提供をはじめ、地域の特産品の販売スペースを併設したレストランを建設。

◆阿下喜温泉再構築事業(5000万円)
阿下喜温泉リニューアルに必要な備品の購入。

◆阿下喜ビジターセンター整備事業(2080万円)
自然教育、ワークショップ機能、観光案内機能、テレワーク機能のほか、地域住民と交流できる場を確保するためのビジターセンター整備。

◆市道西方上笠田線舗装補修事業(6000万円)
自歩道設置事業により整備が終了した区間の舗装修繕工事実施。

◆市道宮東三反丸線道路改良事業(2200万円)
国道421号バイパスの踏切新設に伴い、閉鎖される員弁郡大泉新田地内の2カ所の踏切を迂回(うかい)するための道路改良実施。

◆SDGs未来都市推進事業(1900万円)
事業者認定。PR活動。森林放棄地有効活用、循環型ビジネスモデル創造の実証実験実施。

◆野遊びSDGsメディア掲載支援業務(1004万7000円)
事業のターゲットであるインバウンドの誘客につながるよう、欧州などに向け広報活動。

◆旅行商品の造成と提供体制構築業務(1239万9000円)
インバウンドなどをターゲットに地域回遊を促す旅行商品造成、サービス提供体制構築。

◆PPP/PFI導入可能性調査事業(1034万円)
観光拠点整備の検討時点で、民間事業者の参加が見込める事業方式、事業スキーム、事業領域などを検討。