
【伊勢】三重県伊勢市大湊町の宇治山田港一帯で12日、視覚障害者を対象とした1人乗りヨットによるセーリング大会「全国ハンザクラス ブラインドセーリング大会」が初開催された。松阪市をはじめ全国から5人の視覚障害者が参加し、自動音声ソフトを活用しながらセーリングを楽しんだ。
伊勢市や津市など、県内3地区を拠点にマリンスポーツの普及を目指して活動するNPO法人「セイラビリティ三重」(強力修代表)が主催して県内で初めて開催。コロナ禍で中止となった三重国体のレガシースポーツ支援補助を活用し、年齢や性別、障害の有無に関係なく全ての人がマリンスポーツを楽しめることを願って企画した。
大会では、全長約2・3メートルの1人乗りヨットで、湾内に設置した3つのブイを通過する1周約400メートルのコースを6回周回した合計順位を競った。

開催に当たり、鳥羽商船高専情報機械システム工学科4年の濱口宝さん(18)と共同開発した競技支援ソフト「B―SAM」を活用した。各艇とブイにソフトを入れたスマートフォン端末を設置し、GPS(全地球無線測位システム)でそれぞれの位置情報を計測。参加者は端末から自動音声で発信される距離や方角の情報を元に、ヨットを操作した。
大阪府寝屋川市から参加した鏑木佐和子さん(56)は、「これまでにも障害者向けの競技はあったが、ほかの障害も一緒なのでどうしても差が出てしまう。同じ立場で集まって本当の意味でレースができることがありがたい」と期待した。
主催した強力代表(71)は「これまで視覚障害者が一人でできるレースはなかった。今後も定期的に開催して裾野を広げ、伊勢をブラインドセーリングのメッカにしたい」と話していた。