子ども条例改正を検討 ヤングケアラー問題対応 三重県議会一般質問

三重県議会6月定例月会議は14日、平畑武(新政みえ、1期、鈴鹿市選出)、野村保夫(自民党、2期、鳥羽市)、杉本熊野(新政みえ、4期、津市)、山本教和(自民党、9期、志摩市)の4議員が一般質問した。一見勝之知事は子どもの権利尊重などを定めた「県子ども条例」を、改正する方向で検討する考えを示した。増加する児童虐待や子どもの貧困に加え、大人に代わって家族の介護をする「ヤングケアラー」などの新たな課題が浮上していることも踏まえて改正する方針。杉本議員への答弁。

子ども医療費拡大を ― 平畑武議員(新政みえ)

平畑 武議員(新政みえ) 子育てしやすい環境を整えるため、県が市町に補助している子ども医療費の対象年齢を拡大するよう求めた。県当局は「制度を拡大した後は、財政状況が悪化してもやめるというわけにはいかない」などと、慎重な姿勢を示した。

【電気自動車】
平畑議員 世界で電気自動車(EV)の普及が進んでいる。今後の自動車生産はEVにシフトしないと買ってもらえない。チャンスと捉え、中小企業の技術向上や業態転換、他産業からの新規参入に対する支援が必要だと考える。

野呂雇用経済部長 次世代自動車のワーキンググループを立ち上げ、専門家との議論を交えながら課題を抽出し、対応策を検討している。セミナーの開催や専門家の派遣にも取り組む。県内の自動車関連産業が潮流に乗り遅れないよう丁寧に支援する。

【医療費補助】
平畑議員 出生率を上げるため、子育てしやすい環境をつくる必要がある。9月からは全市町で入院と通院とも15歳年度末までの医療費を助成することになるが、12歳年度末までの半額を補助している県も対象年齢を拡大すべき。

中尾医療保健部長 厳しい財政状況でも助成の財源を優先的に確保してきた。15歳未満の一人当たりで県の子ども医療費補助金は全国6位。制度を拡大した後は財政状況が悪化してもやめるわけにはいかない。持続性の確保も考慮しながら引き続き検討する。

遠隔診療、他地域でも ― 野村 保夫議員(自民党)

鳥羽市の離島で実証実験が進められている遠隔診療について、他の離島や南部地域に広げることを提案。県当局は「遠隔診療は効果的」としつつ、実現に向けた課題があり、法改正や関係機関の協力が必要との考えを示した。

【遠隔診療】
野村議員 鳥羽市では離島に備えられた遠隔医療診療システムの使用や、従来の4Gより高速、大容量の5Gを活用した実証実験を検討している。離島や南部地域のようなへき地でも遠隔診療の実証実験や研究を積極的に実施してはどうか。

中尾医療保健部長 離島やへき地での遠隔診療は効果的だと考える一方、誤診や情報流出などの課題もある。デジタル社会推進局や市町、医療機関と協力して遠隔診療に取り組む。遠隔診療を推進する中で法改正が必要な場合は国に働きかける。

【クロノリ】
野村議員 伊勢湾のクロノリは栄養塩類が不足して色落ちが深刻。単価も下がり、廃業する業者も出かねない。県が取り組む色落ち対策や、栄養塩類が不足している原因の把握は。

更屋農林水産部長 収入が減少した事業者への支援や「色落ちアラート」の発出、対策を事業者と情報共有する。国や愛知県、大学と連携して栄養塩類の供給源を明らかにした上で、令和8年度までの5年間にクロノリ漁業への栄養塩類の供給量を調査、検証する。

差別対応での検証指摘 ― 杉本 熊野議員(新政みえ)

障害者差別の対処について「障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例」に定める「県民参加の検証」が行われていないと指摘。県当局は「県民参加の部分が弱かった」と認めた。

【差別解消】
杉本議員 障害者差別の対応を検証する方法が、条例に定める内容とは違う。県民が検証に参加できていない。新型コロナの影響もあったとは思うが、子ども・福祉部が条例をしっかりと捉えているのか懸念される。条例への認識は。

中村子ども・福祉部長 指摘されたように県民参加の部分が弱かった認識はあるが、さまざまな研修会やセミナーの場で意見を聞く機会もあり、検証も一定は行ってきた。言われたことを参考にしながら、より県民の意見を聞いて検証を充実させたい。

【条例改正】
杉本議員 鈴木前知事は子ども条例について「見直しの必要性を検討する」と答弁していたが、その通りには取り組まれていない。知事が交代したからか。こども基本法が成立しようとしている国の方が進んでいるように思う。

知事 子ども条例は制定から10年余りが経過し、子どもを取り巻く状況は変わっている。児童虐待や子どもの貧困が増加し、ヤングケアラーの問題もある。当事者の意見も入れ、国の方向性も踏まえながら、どんな改正ができるのかを議論したい。

真珠母貝の県内生産は ― 山本 教和議員(自民党)

三重の真珠母貝や稚貝の供給不足を指摘し、今後の国産の真珠母貝の生産に向けた取り組みを尋ねた。県当局は「県内の母貝生産が急務」とし、稚貝の品種開発、母貝生産の実証実験を進める考えを示した。

【私立支援】
山本議員 国は令和2年度から私立高校の就学支援金の上限額を大幅に引き上げた。全国35都道府県でも保護者世帯の給付制限を緩和して、負担を軽減する施策をしている。県独自の就学支援金を設置するのはどうか。

知事 国の就学支援金の上限額拡大で、県内の私立学校の入学者などで効果が出ている。国で大学をはじめとした高等教育の就学支援新制度の対象拡大の動きも把握している。保護者の経済的負担の減少や、私立で学びたい子どもに必要な支援に取り組む。

【真珠振興】
山本議員 県では愛媛から真珠母貝を調達していたが、令和元年からの大量へい死で調達が難しくなり、母貝や稚貝の不足を懸念している。三重で育ったアコヤガイで質の高い真珠を作るために、病気に強い国産貝をどう確保するのか。

更屋農林水産部長 県内の真珠母貝は大部分を県外産に依存していたが、へい死の影響で調達が難しくなり、県内での母貝生産が急務になる。今年度はへい死対策に加え、アコヤガイの系統保存と稚貝の品種開発、英虞湾以外での母貝生産の実証実験を進める。