文化人との交流をエッセーに 三重県文化大賞の川口さんが出版

【数々の文化人との交流をまとめた「村翁閑話―人の縁、本との出会い」を出版した川口さん=南伊勢町の自宅で】

【度会郡】全国各地の漁村文化を取材し、5月に第21回三重県文化賞の文化大賞を受賞した作家の川口祐二さん(89)が、自身の半生で関わった文化人との交流をまとめたエッセー「村翁閑話(そんおうかんわ)―人の縁、本との出会い」を出版した。自身最後の31冊目の出版といい、「亡くなった方への献辞としてこれだけは残しておきたかった」と話している。

川口さんは南伊勢町宿浦出身で、早稲田大学を卒業後、東京での生活を経て旧南勢町役場に就職。海洋環境保全に関心を寄せ、合成洗剤追放運動を提唱するかたわら、自身の活動記録を中心に執筆を続けた。

漁村の貧しさや繁栄の歴史をまとめた論文「渚(なぎさ)の55年」が昭和63年刊行の「私の昭和史」(岩波新書、加藤周一編)に掲載されたことを機に、漁村文化の取材を開始。役場を早期退職後、30年以上にわたり全国500カ所以上の漁村を巡り、海女や漁師など約800人から話を聞いた。

「村翁閑話」は、これまでの半生で交流のあった詩人や歌人、研究者など約30人の文化人からの手紙やはがきなどの書簡を中心に思いや逸話をエッセーとしてまとめた。作中には、作家で評論家のなだいなだや杉浦明平、詩人の足立巻一などの名前が並ぶ。

原稿は昨年9月に完成したが、当初は出版の予定もなく箱の中に保管していたという。その後、県文化賞受賞の知らせを聞いたことで出版への思いが高まり原稿料度外視で出版を掛け合ったという。「自分としては四分の一自叙伝。自慢話と思われる人もいるかもしれないが読んで楽しんでもらえたら」と話した。

ドメス出版(東京都)から四六判160ページ、税込み1650円で出版。購入など問い合わせは川口さん=電話0599(66)0909=へ。