食品ロス削減5・3トン 三重県、子ども食堂などへ提供 県議会一般質問

三重県議会6月定例月会議は10日、舘直人(草莽、5期、三重郡選出)、山内道明(公明党、2期、四日市市)、山本里香(共産党、2期、四日市市)、下野幸助(新政みえ、3期、鈴鹿市)、野口正(自民党、2期、松阪市)の5議員が一般質問した。県当局は食品ロスの削減などを目的としたシステムの利用状況を報告。立ち上げから約10カ月間で、約5・3トンの食品がシステムを通じて子ども食堂などに提供されたことを明らかにした。山内議員への答弁。

計画に国体開催明記を ― 舘直人議員(草莽)

次期三重国体の早期開催に向けた意思を県の長期計画「強じんで美し国ビジョンみえ」に記述するよう要請。一見知事は「意気込みだけを書いて県民の期待を裏切らないようにしたい」などと述べ、慎重な姿勢を示した。

【三重国体】
舘議員 三重とこわか国体・とこわか大会は残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止されたが、市町と開催準備を進めた経験は貴重。県は市町が誘致する大規模大会などへの補助を進めているが、次年度以降の取り組みは。

山川スポーツ推進局長 3月までの半年で24件の代替大会が開かれた。施設の有効活用や選手らの活躍機会をつくるため、本年度は補助金を創設し、大規模大会の開催費用を補助している。実績を積み上げ、スポーツを通じた地域の活性化につなげたい。

【次期国体】
舘議員 知事は両大会の延期を断念する苦渋の決断をしたが、同時に「スポーツの火を消さない。次期国体は3巡目を待たず、できるだけ早く開催したい」と述べていた。その思いを県の長期ビジョンにも記述すべきと考える。

知事 スポーツ振興はビジョンやプランに強く記載している。次期国体は市町や競技団体、学校、スポーツ協会との調整が重要。もちろん無限にカネがあるわけではなく、財政を踏まえた対応も必要。意気込みだけを書いて県民の期待を裏切らないようにしたい。

フェーズフリー啓発 ― 山内道明議員(公明党)

日常生活で使用している物が災害時にも役立つ「フェーズフリー」の考え方を紹介し、県内に浸透させるための取り組みを尋ねた。県当局はフェーズフリーの専門家による講演などを通じて啓発を進めていると報告した。

【防災対策】
山内議員 プラグインハイブリッド車が非常時に電源となるなど、フェーズフリーの考え方が広がっている。四日市市の南消防署が全国初の「フェーズフリー消防署」を目指すなど、県内でも動きがある。県の取り組みは。

山本防災対策部長 県職員が「みえ防災・減災センター」の講座でフェーズフリーの必要性を啓発したほか、ホームページなどで防災レシピを紹介している。昨年はフェーズフリー協会から講師を招いて講演を実施した。今後も定着に向けて啓発したい。

【食品ロス削減】
山内議員 県は昨年7月から、食品ロスの削減と生活困窮者への支援を両立させる食品提供システム「みえ~る」を運用している。都道府県では2番目に早い構築で福祉と連携させた取り組みは高い評価を受けているが、現状は。

小見山廃棄物対策局長 55の事業所が登録している。これまでに193件が成立し、フードバンクなどに約5・3トンの食品が提供された。提供した事業者からは「支援先が見つけやすい」との声がある。参加者の意見を踏まえ、拡大に努めたい。

RDF総括、問題指摘 ― 山本里香議員(共産党)

RDF(ごみ固形燃料)焼却・発電事業の総括に「情報開示の不完全さ」などを盛り込んだ県当局に「大事なことは、なぜそうなったかだ」と指摘。県当局は「反省と教訓を生かす」などと説明し、背景には言及しなかった。

【総括】
山本議員 RDF事業に対する県の総括はコスト意識の問題や情報提示の不完全さ、合意形成プロセスの甘さなどを指摘した。大事なことは、なぜそうなったのかということ。風化させないとは言うが、どう取り組むのか。

小見山廃棄物対策局長 事故の反省と教訓を今後の施策に生かす。持続可能なスキームを作れなかったことは大きな反省点。新たな技術を活用する際は安全を最優先とし、しっかりと検討する。将来を担う職員に引き継ぐことも大事。引き続き研修を実施する。

【政治姿勢】
山本議員 ロシアのウクライナ侵攻が始まって3カ月がたった。武力での解決はあってはならないが、止めることの難しさを見せつけられている。知事は海上保安庁時代に緊迫した状況も経験したと聞いている。平和憲法への考えは。

知事 平和が何よりも尊いことは言うまでもない。海上保安庁は、武力の衝突を防ぐために自ら行動する平和のシールド。平和の維持が、いかに困難かを痛感していた。やはり武力も必要だが、しかし武力は出さない。憲法の順守は公務員として当たり前。

人口減少対策、成果は? ― 下野 幸助議員(新政みえ)

県内の人口減少は年間1万5千人に上るとし、これまでに実施した人口減少対策の成果を尋ねた。県当局は「全体では成果につながったと言えない」とし、国や市町との連携や情報の不足を理由に挙げた。

【人口減少】
下野議員 県の人口は毎年、約1万5千人の減少が続いている。合計特殊出生率は1・4台で、県民が理想とする1・8と乖離(かいり)している。100年後には県の人口が50万人になるというデータもある。これまで取り組みに対する総括は。

安井戦略企画部長 全体では成果につながったと言えない。特に女性の転出超過が多く、未婚や晩婚化に対して効果的に取り組めなかった。調査や分析も十分ではなく、国や市町との連携が不足していた。必要なデータを収集し、エビデンスに基づいて取り組む。

【地籍調査】
下野議員 地籍調査が進まないと取引にリスクが生じ、災害の復興も進みにくい。進捗(しんちょく)率の全国平均は52%だが、三重は9・8%で全国ワースト2位。今のペースだと全てを調査するのに900年はかかる。取り組みへの評価は。

後田地域連携部長 市町からは、慢性的な人手不足で苦慮していると聞いている。限られた人員と予算で効率的に調査を実施できるかや、土地所有者の高齢化が進む山間部で調査が進んでいないことが課題。一層進める必要があると認識している。

堤防改修、情報周知を ― 野口正議員(自民党)

堤防などの改修に関する情報を十分に周知するよう要請。県当局は現場での広報を強化していることを報告した上で、インフラの異常を発見した住民に通報してもらうシステムの導入を検討していることを明らかにした。

【養殖振興】
野口議員 地球温暖化や黒潮大蛇行の影響によって伊勢湾の海水温上昇や潮位に異変が起きている。漁場変化に適応したアオサノリ養殖の振興策は。また、大幅に減少しているアサリの回復に向けてどう取り組むか。

更屋農林水産部長 アオサノリの養殖網では、確実に種付けができる技術の開発や魚の侵入を防ぐ網の設置を検討している。アサリの効果的な生息場を整備するため、令和4年度には稚貝の流出を防ぐ砕石を用いた干潟、浅場の造成にも取り組む。

【維持管理】
野口議員 老朽化が進んでいる堤防や拡大する自然災害に対し、住民から心配の声が寄せられている。県や市町は改修工事や検査を進めてはいるが、住民は状況を把握できていないのでは。現状確認や調査の方法は。

水野県土整備部長 港湾や海岸施設は5年に一度、陸上や船舶から目視で点検している。河川施設も出水期の前に点検している。点検や修繕に関する現場での広報を強化する。インフラの異常を発見した住民に通報してもらうシステムの導入も検討する。