三重県いじめ対策審議会(尾高健太郎会長、5人)は28日、いじめ重大事態の対処に関する答申を県教委に提出した。被害者がいじめ重大事態を申し立てた場合の対応について「いじめの事実を確認できないことを理由に重大事態の認定を拒むことは許されない」と指摘した。
県教委は1月、県立高校でいじめを受けた生徒側の申告から重大事態と認定するまでに約1年を要した問題の発覚を受け、審議会に今後の対応を諮問。審議会は3回の協議を経て答申をまとめた。
答申は当時の対応について「いじめの事実を確認できないことから重大事態に認定しなかったと思われ、いじめ防止対策推進法や関連ガイドラインなどの趣旨を誤解したものと考えられる」と指摘した。
また、審議会は中学時代のいじめが背景にあったことを踏まえ、調査の実施主体についても協議。答申はいじめが中学時代と高校時代にまたがる場合、県教委が主体となって調査するよう検討を促した。
このほか、被害者側が聞き取りなどの調査を拒否した場合は、その理由を把握するよう要請。「被害生徒を全力で守ると約束し、どんな調査が可能かを被害者側と十分に協議する必要がある」とした。
この日、尾高会長が木平芳定教育長に答申を手渡した。木平教育長は「熱心に審議し、答申をまとめていただいたことに感謝する。答申をしっかり受け止め、今後の対処に生かしたい」と述べた。