三重県は18日、新型コロナウイルス感染症の死亡事例のうち10件を公表しないミスがあったと発表した。新型コロナが死因でなかったことから「公表は不要」と判断したことなどが原因としている。
県によると、公表していなかったのは令和2年12月から今年1月までに死亡した50代から90代までの男女10人。県は医療機関などを通じて死亡を把握したが公表せず、厚生労働省にも報告しなかった。
医療保健部の職員が先月5日、感染者の入退院に関するデータを整理したところ、死亡の記録があるのに公表していない事例があることに気付いた。その後の調査で同様の事例が相次いで判明した。
公表していなかった10人のうち8人は新型コロナが死因でなかったことを踏まえ、当時の担当者らが公表を見送っていた。厚労省は死因を問わずに感染者の死亡事例を公表するよう通知している。
また、残る2人のうち1人については、庁内の連携不足で公表の担当部署に死亡の連絡が入っていなかったことが原因。もう1人については「公表しなかった明確な原因が分かっていない」としている。
このミスを踏まえ、県は感染者の死者数を287人から297人に訂正した。感染状況の分析に与える影響については「モニタリング指標に死者数はなく、大きな影響はない」と説明している。
患者情報プロジェクトチームの鈴木一司課長は18日の記者会見で「正確な情報を届けられず、おわび申し上げる」と陳謝。「今後は公表漏れがないよう、情報や対応を共有する体制を強化した」と話した。