一見勝之三重県知事は10日の定例記者会見で、県民に限定して県内の旅行代金を割り引く「みえ得トラベルクーポン」の対象者を、13日から中部や関西などの11県の県民にも拡大すると発表した。新規感染者は増加傾向にあるが、病床使用率の低さを踏まえて拡大を決めた。31日まで実施する。
県によると、対象となるのは愛知、岐阜、静岡、滋賀、奈良、和歌山、福井、石川、富山、長野、新潟各県の県民。国が対象拡大の範囲に定めた北陸信越・中部の8県に、県が滋賀など3県を独自に加えた。
三重県民の旅行割引きと同じく、ワクチンの3回目接種証明もしくは検査の陰性証明の提示が条件。1泊当たり最大5千円を割り引き、土産物の購入などに使える最大2千円の地域応援クーポンも配布する。
事業費は9日から三重県民を対象に実施している旅行割引を含めて18億円。全額を新型コロナ関連の補助金で賄う。20万人の利用を想定している。先月に実施した割引は約7万5千人が利用した。
このほか、三重県民が11県のうち奈良県を除く10県を観光で訪れる場合も、13日からは旅行割り引きの対象となる。県は京都府民も割引の対象に加える方向で府と調整を進めているという。
一見知事は旅行割引の対象を拡大する理由を「病床使用率が20%を下回り、逼迫(ひっぱく)していないため」と説明。病床使用率が40%を超えた場合は割り引きを停止し、利用自粛を要請する考えを示した。
その上で「これまで観光業界は苦しい思いをしてきた。他県の方々も割引を使って県内旅行を楽しんでもらいたい」と強調。「大型連休が終わると観光客は減ってしまう」とし、閑散期の誘客に期待した。