任期満了(来年4月29日)に伴う次期県議選まで残り一年を切った。昨年5月の条例改正により、定数は3減の48で実施される予定。定数減が県議会のパワーバランスに影響を与えることは必至で、削減や合区の対象となった選挙区の結果に注目が集まる。旧民主党系会派の新政みえと自民党は、それぞれ単独過半数の獲得を目標に設定。各選挙区で激しい戦いが繰り広げられる見通しだ。
昨年5月に成立した条例は伊勢市(定数4)と鳥羽市(同1)の両選挙区を統合して4▽尾鷲市・北牟婁郡(同2)と熊野市・南牟婁郡(同2)の両選挙区を統合して3▽伊賀市選挙区を1減の2―と定めた。
次期県議選が3減の48で実施されるのは、ほぼ確実な情勢。当初は賛否が渦巻く中での採決が波紋を呼んだが、現時点で定数削減を覆す動きはない。伊賀市民らが提出した削減撤回を求める請願も否決された。
新政みえと自民党の幹部は、単独過半数の奪還を次期県議選の目標に掲げる。その達成には新政みえが5議席、自民系が2議席を増やす必要があるが、定数を削減する中にあっては高いハードルだ。
新政みえは独自候補がいなかった亀山市選挙区(定数1)や志摩市選挙区(同2)での擁立も視野に入れる。一部の現職は引退のうわさも飛び交うが、幹部は「それなら必ず後継を立てる」と意気込む。
自民系は現職全員の続投に加え、現職が1人にとどまっている鈴鹿市選挙区(定数4)などで議席を増やしたい考え。前回衆院選をはじめとする国政での躍進を追い風に、県議会でも巻き返しを図る。
注目区の1つは、次期県議選から定数が1減の2となる伊賀市選挙区。新政みえの森野真治、自民党の木津直樹、草の根運動いがの稲森稔尚の現職3氏が、続投を目指して2議席を争う見通しだ。
関係者によると、ある陣営が年明けに実施した電話世論調査では、同市選挙区の現職3氏が「数ポイント差の接戦」という。選挙区内では定数削減の是非などを巡って激しい戦いが繰り広げられるとみられる。
新政みえにとってはトップ当選を続ける森野氏の続投が絶対条件。さらには新政みえと友好関係にある稲森氏の当選にも期待する。稲森氏が当選すれば、結果的に自民党を追い込めるという算段だ。
他方の自民。これまで同市選挙区で複数の候補者を擁立してきたが、過去2回の県議選で当選者は1人にとどまる。今回は候補者を一本化することで新政みえとの〝引き分け〟に持ち込みたいところだ。
東紀州も現職4人が生き残りをかけて戦う見通し。選挙区内の熊野市・南牟婁郡も過去2回は無投票だったが、合区によって選挙戦となる可能性が高い。定数が奇数になったことで、勝敗の結果が鮮明になる。
このほか、伊勢市・鳥羽市選挙区では、期数を重ねた重鎮らがしのぎを削る。「今期限りで引退では」との観測が飛び交う議員もいるが、今のところ表明はない。全員が出馬すれば1人の落選は確実だ。
一方、合区の選挙区では同じ会派の議員らが議席を奪い合い、混戦の様相を呈する可能性も。あるベテラン県議は「票の食い合いは避けたい。最終的には組織票をうまく分配できるかが鍵を握る」と話す。