2022年5月8日(日)

▼改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)で令和2年6月から大企業に、この4月から中小企業にも義務化されたパワーハラスメント対策について、総合人材サービス会社「エン・ジャパン」が状況を調べた結果、実施率は66%だった

▼この数字が多いのか少ないのかはよく分からないが、この会社が8200人に職場でハラスメント被害の有無を聞いた別の調査では67%が「ある」と答え、うち最多がパワハラの85%で、次いでモラハラの43%。セクハラは24%で3位だった。職場に最も横行しているのがセクハラでなかったのは、当然といえば当然だった

▼パワハラ対策の質問は企業の人事担当者が対象だが、法の認知度は84%で前年比16ポイント増。賛否は「まあ良い」も含め「良い」が90%で8ポイント増。対策を進める上での課題は「管理職の認識・理解が低い」が55%、「基準・境界があいまい」が43%。推進役が自信を持てないということでもあろう

▼セクハラが、その適不適はともかく「性的嫌がらせ」と訳され、それなりに内容が一目瞭然なのに対し、もともと和製英語のパワハラに分かりやすい日本語訳がない。「職場内虐待」とする訳もあるようだが、一般化してはおらず、業務命令や、その結果に対する注意、指導との境界があいまいにならざるを得ないのだろう

▼パワハラ対策の1位は「相談窓口設置」(80%)、「罰則規定明記」(56%)「対策方針の明確化」(45%)。先の被害者の声では一番が「学ぶ機会の設定」で「相談窓口設置」「定義の明確化」と続く。微妙な意識の違いが実効性に不安を残す。