神戸市灘区のデイサービス施設「ウェルケア・デイサービス」で9日、流水を使わずに特殊なスチームを使う洗髪メニューが全国のデイサービス施設で初めて導入される。
導入するのは、京都の理美容機器メーカー「ティ・アイ・プロス」が開発した「スチームで洗髪するシステム『ラプレ・シャンプースチーマー』」。これまでに大学病院や医療機関のICU、コロナ病棟、熊本地震の被災地など6府県11施設で活用実績がある。利用者の体に負担もなく、スタッフ1人で対応できると考え、導入を決めた。
スチームは入浴時の温水シャワーと同程度の40度。1人あたりの洗髪に使用する水の量はペットボトル1本以下の300―400㏄程度という。
洗髪は、①スチームを髪全体に約1分あてて髪を濡らす②専用シャンプーを髪へ塗布して洗髪③頭皮をマッサージし、ほぐす④スチームを約2分間、髪全体にあて、シャンプー剤の効果促進⑤浮き上がった皮脂の汚れと残ったシャンプーを乾いたタオルで拭き取る⑥スチームをあて、洗い流す⑦残ったシャンプーを乾いたタオルで拭き取る⑧ヘアードライヤーで髪を乾かす―の順に行う。同施設では、導入にあたり、スタッフはプロの美容師から直接、洗髪方法を学んだ。
ウェルケア・デイサービスには入浴設備がなかったが、通常、入浴介助は1人の利用者につき介護士2人と看護師1人が必要。コロナ禍のマスク着用の入浴介助はサウナ状態で、倒れそうになりながら介助をしているという。同施設では、現在の介護士不足問題、そこから発生する入浴介助の負担が課題になっている昨今、服を着たまま、車椅子のままで、介護スタッフ1人で洗髪や体の拭き上げができる方法が少しずつでも介護業界に広がれば、看護師や介護士の負担軽減に必ずつながると考えている、としている。