近現代絵画を中心に3000点 8日、松阪にサイトウミュージアム開館

【開館記念展のポスターを掲げる田中学芸員(右)と、8日に開館するサイトウミュージアム=松阪市魚町で】

【松阪】松阪市魚町に8日、私設美術館「サイトウミュージアム」が開館する。精神科の南勢病院(同市山室町)の齋藤洋一院長(59)が館長を務め、自身が集めた近現代絵画を中心とする約3千点を収蔵する。開館記念展「旅する絵画」を8月21日まで開く。

魚町通りの3階建て倉庫を改装し、1、2階の各約150平方メートルが展示室。外観は白一色にしている。建物前は身体障害者用駐車場。

齋藤館長は評価されていない作品の掘り起こしに力を注ぎ、オークションやギャラリーで購入している。病院で展示し、利用者の癒やしにつなげてきた。ミュージアムは私蔵している膨大なコレクションを公開するとともに、文化拠点としてまちの活性化に寄与したい思いから設立した。

齋藤館長は「これまでの美術史の主流からこぼれ落ちてしまった作品も数多く含まれる。豊かな近現代美術の再評価を試みることが使命の一つ」と意気込む。

県立美術館に勤めていた田中善明さん(58)が学芸員に就いた。田中さんは4年前、伊勢市出身の今村幸生氏の画業を振り返る県立美術館での展覧会を準備していた時、今村氏から齋藤院長が持っている自作を取り上げてほしいと言われ、齋藤コレクションに出会った。

田中さんは「30年近く近代洋画を専門に携わり、かなり分かったつもりだったが、齋藤院長の収蔵品の作者は半分以上知らない」「美術史的に価値あるものもあれば、これは誰なんだというのもごろごろあって、面白そうだなと思った」と語る。2年前に退職し、ミュージアム設立に向け、作品の調査や修復に当たってきた。

開館記念展「旅する絵画」は正宗得三郎「熱海の春」や山本鼎「瀬戸内海にて」など45点の油絵と水彩画を紹介する。

田中さんは「知らない人の作品がたくさんある。地味だけどいつまで見ていても飽きない。個人の感性で鑑賞してほしい」と呼びかけている。

また記念展図録に解説「見飽きない『旅する絵画』」を寄せ、「絵画そのものは静止した画像であるものの、動きを感じさせる」「生命感がある」と絵の魅力を指摘し、技法や構図、モチーフの配置を説明している。

収蔵品には松阪市出身の日本画家宇田荻邨や洋画家中谷泰の絵もあり、開館記念展では中谷の作品「漁師町」を展示している。

企画展を年3回ほど開く予定。開館は金土日祝日の午前10時―午後5時。入館料は大人500円、高大生300円、中学生100円、小学生以下無料。問い合わせは同館=電話0598(21)1111=へ。