2022年4月20日(水)

▼前回選から2議席減らした三重県の南伊勢町会議員選挙は定数を1人上回る13人の立候補で少数激戦となり、8期の共産党町議の落選で終わった。合併前の旧南島町議として3期の78歳。敗因は世代交代とも取れるがこのところの共産党退潮の傾向とも無縁と思えない

▼かつての芦浜原子力発電所建設計画があった旧南島町は、反対一色と言われた。衆議院科学技術振興対策特別委員会の視察を阻止する長島事件の発生で地元漁業者25人が逮捕され一時棚上げされて昭和59年、県が原発関連予算を計上して再び混乱が再燃した

▼各種選挙のたびに共産党の若い活動家らが旧南島町に乗り込み、プレハブ小屋を拠点に熱気漂う反対運動を展開。一方で公然と推進を名乗る団体が誕生し、同60年の県議会原発立地調査推進決議を追い風とする中で、その推進団体の地元から初の共産党候補として出馬したのが今回落選した町議だった

▼「まさか共産党が」と賛成・反対両派が観測する中で堂々の中位当選。関係方面を驚かせた。反対派の拠点とされた古和浦漁協が推進に転換。町議会にもじわりと広がる推進が広がるなどの動きに歯止めをかけた。北川正恭知事の白紙撤回宣言で計画は一応の幕を閉じる

▼共産党町議がこの過程でどんな働きをしたかをつぶさには知らぬが、当時は推進・反対両派とも、町の将来について関心を持ち、熱く語った。旧南勢町との合併後とはいえ投票率67・83%の低率は隔世の感。町長は別にして、町議は11人うち旧南島町出身は3人となった

▼共産党町議の落選は、一つの象徴の気がする。