「身の丈に合った財政に」 三重県当局が異例の言及 県議会一般質問

三重県議会2月定例月会議は2日、山崎博(自民党、1期、四日市市選出)、奥野英介(草莽、4期、伊勢市)、川口円(新政みえ、1期、津市)、西場信行(自民党、10期、多気郡)の4議員が一般質問した。高間伸夫総務部長は「身の丈に合った財政運営に努める」と述べた。財政当局が公式の場で「身の丈」と発言するのは近年では異例。これまで前知事の意向に配慮して使用を控えてきたが、知事の交代を受けて発言したとみられる。奥野議員への答弁。

松阪球場にWi-Fiを ― 山崎博議員(自民党)

利用者にリアルタイムで情報を共有する観点から、ドリームオーシャンスタジアム(県営松阪球場)にWi-Fi(ワイファイ)を導入するよう要請。県当局は「有益なツール」として導入を検討する考えを示した。

【設備導入】
山崎議員 球場にWi-Fiを導入すれば、大会運営者などの業務が効率化するはず。選手やスタッフ、県民にも最新の情報を迅速に届けられると思う。まずはドリームオーシャンスタジアムにワイファイを整備すべき。

辻国体・全国障害者スポーツ大会局長 ワイファイは大会運営者や報道関係者が迅速に情報を提供でき、観客は情報にアクセスしやすくなる。スポーツ施設での導入は有益なツールだと思うが、維持管理費などの課題がある。導入の可否を検討したい。

【部活動】
山崎議員 県教委は検討委員会を設けて持続可能な部活動のあり方を議論している。教員の負担軽減や受け皿の確保、地域移行の費用負担などが議題だが、議論を踏まえて中学の部活動はどのような方向性になっていくのか。

木平教育長 検討委では部活動指導員のさらなる活用に加え、段階的な地域移行を部活動の方向性に位置付けている。県内では三市町の四中学校を地域移行のモデル校と位置付けて実践研究を進めているが、来年度もモデル校の取り組みを継続させる。

地域のコンパクト化を ― 奥野英介議員(草莽)

人口減少に対応するためには「地域をコンパクト化する必要がある」と指摘。一見知事は人口減少の課題に「集落の機能低下」を挙げつつ「住み慣れた地域に住み続けたい人の思いも大事にしたい」との認識を示した。

【人口減少】
奥野議員 公助は重要だが、やみくもに拡大しても地域は活性化しない。行政サービスを水平展開するため、都市や地域をコンパクト化して「令和の大合併」も選択肢とすべき。県は人口減少対策課を設けるが、具体的な取り組みは。

知事 人口の減少幅を少なくするため、総合的な取り組みを進めたい。過疎化や高齢化に加え、集落の機能低下も課題。地域のコンパクト化に取り組んでいる自治体もあるが、住み慣れた地域に住み続けたいという人の思いも大事にしなければならない。

【財政運営】
奥野議員 派手好みの為政者とは異なり、令和4年度の当初予算は堅実に編成された。最も厳しい状況からは脱しているように見える。ただ、手放しで喜んで良いのか。真に必要な取り組みを進めるべき。財政の基本的な考えは。

高間総務部長 ウクライナを巡る国際情勢や新型コロナの影響が予断を許さない。社会保障関係経費も増加していくほか、いまだに県債管理基金の積み立て不足も解消できていない。真に必要な事業には支出しつつ、身の丈に合った財政運営に努めたい。

コロナ後遺症支援を ― 川口円議員(新政みえ)

「新型コロナウイルスの後遺症に苦しんでいる人が多い」とし、県に支援を要請。県当局は保健所の相談対応などにとどまっている現状を説明しつつ「関係団体と連携しながら県独自の取り組みを検討したい」と答弁した。

【観光戦略】
川口議員 観光業は新型コロナによって極めて大きな打撃を受けている。事業の存続や維持が困難になる恐れが長期にわたって継続している。一層の対策が必要だと思う。どのように戦略的な観光マーケティングを進めるのか。

小見山観光局長 ファンやリピーターを獲得するため、それぞれの旅行者に合った情報の提供が必要。令和四年度は旅行者のデータを活用して情報をタイムリーに発信するプラットフォームを活用する。県観光連盟のサイトなどを通じて周知を図りたい。

【後遺症】
川口議員 新型コロナウイルスの後遺症に苦しんでいる人がたくさんいる。無症状や軽症でも、さまざまな後遺症が残る可能性があるとされる。後遺症を専門とする医療機関や相談窓口が求められているが、県の対応は。

中尾医療保健部理事 保健所が感染者からの相談に応じ、医療的なケアが必要な場合は症状に応じて受診を案内している。さまざまな調査や研究によって徐々に後遺症の解明が進んでいる。関係団体と連携しながら県独自の取り組みを検討したい。

流量回復の見通しは ― 西場信行議員(自民党)

宮川の流量回復に向けた「ダム直下毎秒2トン」までのスケジュールを示すよう要請。県当局が「現段階でスケジュールを明言するのは困難」と答弁すると、西場議員は「これまでの答弁と同じだ」などと苦言を呈した。

【流量回復】
西場議員 宮川の流量回復に向けた検討会議が発足したが、流量回復に向けた見通しは。三重国体が中止になって50億円程度の残余金があると思うが、電気事業会計が充てられた経緯を考えると、流量回復への支出が自然だと思う。

山口地域連携部長 ダムの放流を増やせば貯水量の減少が顕著で利水者に影響する。現時点でダム直下毎秒2トンの実現に向けたスケジュールを示すのは困難。三重国体の残余金は令和3年度決算で確定する。宮川に必要な事業費は毎年度の予算議論で要望したい。

【伊勢商人】
西場議員 知事は県民性について「温和で優しいが積極性に欠ける」と発言したが、そうとも言い切れない。その一例が伊勢商人。三重テラスがある日本橋は最適な場所。伊勢商人と深く関わる松阪木綿にスポットを当てた振興策を。

島上雇用経済部長 松阪木綿は魅力の発信に加え、消費者ニーズに対応した新たな価値の創出が重要。異業種が多様に連携して新商品を開発するワークショップに、松阪木綿の事業者も参加してもらっている。歴史や文化などを大事にした発信を心掛けたい。