自殺予防で条例制定の是非検討 三重県「機運醸成に」 県議会一般質問

三重県議会2月定例月会議は28日、中川正美(自民党、10期、伊勢市選出)、東豊(草莽、3期、尾鷲市・北牟婁郡)、稲森稔尚(草の根運動いが、2期、伊賀市)今井智広(公明党、4期、津市)、廣耕太郎(新政みえ、2期、伊勢市)の5議員が一般質問した。加太竜一医療保健部長は自殺の防止などを定めた条例について「自殺予防の機運醸成に資する」とし、制定の是非を検討する考えを示した。他県の例を参考に制定の効果などを調べる方針。制定すれば東海3県では初となる。今井議員への答弁。

■ヤングケアラー支援を ― 中川正美議員(自民党)

中学生の17人に1人が家族の世話などを日常的に担う「ヤングケアラー」だとして支援を要請。県当局は「家庭内の問題で表面化しにくい」として、令和4年度はヤングケアラーの実態調査を実施する考えを示した。

【洋上風力】
中川議員 カーボンニュートラルに向けた取り組みの中で洋上風力発電への注目が集まっている。国内でも導入が始まっているが、実際に導入する場合のプロセスや県の関わり方は。県としては、どのように導入を進めるのか。

島上雇用経済部長 洋上風力発電の設置には、再エネ海域利用法が定める促進区域の指定を受ける必要があるが、地域の理解が前提となる。県は令和4年度に洋上風力を含めた再生可能エネルギーの可能性や課題を調査する。さまざまな産業の参入を促したい。

【ヤングケアラー】
中川議員 国は令和4年度からヤングケアラーの社会的認知向上に取り組む。厚労省の調査では、中学生の17人に1人、高校生の24人に1人が家族の世話をしているといい、将来への影響が心配される。県の取り組みは。

中山子ども・福祉部長 家庭内で起こる問題で表面化しにくい。実態を把握することが必要。まずは令和4年度に県内で調査を実施する。要保護児童対策地域協議会に調査を実施するほか、ヤングケアラー本人にも聞き取り、支援の検討に生かしたい。

■古道センターの強化を ― 東豊議員(草莽)

文化観光の重要性を強調し、開館から15周年を迎えた県立熊野古道センター(尾鷲市)の博物館機能を強化するよう要請。県当局は「展示内容を見直す時期に来ている」とし、常設展示のリニューアルを検討する考えを示した。

【熊野古道】
東議員 これから文化観光が大事になってくる。伊勢と熊野は古くから信仰を集めてきた。熊野古道センターは現在のビジターセンター的機能を踏まえつつ、常設展示をリニューアルするなどして博物館機能を強化すべきでは。

横田南部地域活性化局長 センターは開館15周年を迎え、展示内容を再検討する時期に来ている。熊野古道が世界遺産登録20周年を迎える令和六年に向けて展示を見直す機会を設けたい。熊野古道の本質的な価値を重視し、リニューアルに向けて検討する。

【生活環境保全林】
東議員 県内の生活環境保全林は設備が老朽化し、立ち入り禁止となっているところが多い。県が適切に維持管理や補修を実施し、憩いの場や健康づくりの場として活用すべき。修繕に「みえ森と緑の県民税」を活用できないか。

更屋農林水産部長 遊歩道などを補修しているが、全ての要望には応えられずに一部の利用を制限している。現状の調査を実施し、森林教育のフィールドと位置付けたい。持続的な活用や計画的な補修に向け、みえ森と緑の県民税を活用することも検討する。

■出水期でも河川工事を ― 稲森稔尚議員(草の根運動いが)

出水期でも一部の河川工事を実施できるようにした国の規制緩和を紹介し、県にも同様の対応を要請。県当局は18日付で13の工種に限定して試行的に規制緩和を進めていることを明らかにした。

【関西本線】
稲森議員 JR西日本が公表した特に利用が少ない30路線に関西本線の亀山―加茂間も含まれる。県はJRに対して一方的に要望を繰り返すだけの関係を見直し、連携協定の締結などを通じてJRと共同で利用促進に取り組むべき。

山口地域連携部長 まずは鉄道の利用促進に向けてやれることをやっていきたい。どのような連携ができるのかは研究していくが、いずれにせよ地域住民と一緒にやっていく必要があると考えている。県外の優良事例も参考にしながら取り組みたい。

【規制緩和】
稲森議員 国交省は近年の気象予報技術を踏まえて平成29年度から全国統一ルールを設け、出水期でも可能な河川工事を指定している。工事の平準化や働き方改革につながると考えるが、県でも規制緩和を実施すべき。

水野県土整備部長 出水期の期間設定は気候変動リスクなどを踏まえて慎重に考える。国の対応を参考にしながら2月18日付で13の工種に限定して同様の措置を導入した。今後は導入後の結果を確認しながら必要に応じて運用の改善に努める。

■県民意識調査の継続は ― 今井智広議員(公明党)

鈴木県政時代に実施していた県民意識調査を継続する考えがあるかどうかを尋ねた。一見勝之知事は「県民の思いを感じ取りながら行政の展開を変えていくことが大事」などと述べ、同様の調査を実施する考えを示した。

【意識調査】
今井議員 鈴木県政時代には、県民を対象とした幸福実感度調査を実施していた。年代や地域ごとに生活実感を把握していくことは大事。新たな長期ビジョンや中期プランの下でどのような調査を進め、進捗(しんちょく)を管理していくのか。

知事 県民の思いを感じ取りながら行政の展開を変えていくことが大事だと思っている。ビジョンとプランについて、パブリックコメント(意見公募)を実施したい。計画の進捗を管理するためにアンケート調査を実施することは良い手段だと思っている。

【自殺防止】
今井議員 警察庁の統計では令和3年の自殺者が県内で300人を超えている。オール県庁で自殺防止の取り組みを進めるべきだと考える。京都府や山梨県は自殺対策に関する条例を制定している。ぜひ三重でも作ってほしい。

加太医療保健部長 自殺者は減少傾向にあるが、40歳未満が横ばい。若者に身近なSNS(会員制交流サイト)を活用するなどして対応している。条例の制定は自殺予防の機運醸成に資すると考える。他県の例を参考に制定の経緯や条例の効果などを研究する。

■コロナ分類引き下げを ― 廣耕太郎議員(新政みえ)

新型コロナウイルスについて、感染症法上の分類を「二類相当」から五類に引き下げるべきだと主張。一見知事は「国が判断すること」としつつ「第六波が収まっていない段階で分類を変えるのは難しい」との認識を示した。

【感染症法】
廣議員 厚労省が言うには、オミクロン株感染者の94%が無症状か軽症。死亡率も0・02%で、インフルエンザの約5分の1だと言われている。指定感染症の分類を二類から五類に引き下げるべきだと考えるが、知事の考えは。

知事 新型コロナの感染者や亡くなる方は減らすべき。国がしっかり判断すると思うが、第6波が収まっていない段階で変えるのは難しいと思う。五類になると医療費が自己負担になってしまうが、それで十分なのか。変異で強毒した場合の対応も問われる。

【ワクチン】
廣議員 新型コロナワクチンの接種対象が5歳から11歳までの子どもにも拡大された。ワイドショーでコロナの怖い情報を見ている年配の方々は孫にすぐ接種させようとするはず。進めるべきではないと考えるが、知事の考えは。

知事 子どもは自分で決められない。保護者に十分な情報を出すことが、われわれに課された使命だと考えている。ワクチンの接種はそれぞれに判断してもらうこと。接種の強制はしていない。効果と副反応を比較しながら決めてもらうことになる。