
【鳥羽】三重県の鳥羽海保浜島分室所属の巡視艇として約28年間にわたって志摩市や南伊勢町沖合の安全を守ってきた「いせかぜ」が任期を終えた。28日、鳥羽市鳥羽4丁目の桟橋で解役式があり、搭乗隊員ら10人が長年の「相棒」に別れを告げた。
同巡視艇は平成6年3月に就役。志摩市や南伊勢町、大紀町など管轄海域の人命救助や法令指導取り締まりに当たり、28年に開催された先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、全国から応援派遣された巡視艇の指導船として、周辺海域の警戒警備に当たった。
任期中の航続距離は約24万7900キロ。出動件数は462回で、救助隻数89隻、救助に当たった人員は174人、摘発件数は886件に上った。滝田浩司同海保部長は式辞の中で、「これら輝かしい実績は歴代乗組員のたゆまぬ努力と使命感のたまもので誇り」とし、「今後も一層の努力を尽くし、地域に密着して期待に応えたい」と述べた。
式辞の後、隊員らは船首の甲板に移動し、船体に向けて日本酒を献酒。その後、標識番号を示す「CL39」をペンキで塗り消して別れを告げた。
令和3年4月から船長を務めてきた三等海上保安正の伊藤健二さん(35)は「伊勢志摩の安全安心のため日夜まい進してきた。長い間お疲れ様と言いたい」と話していた。
解役に伴い、「いせかぜ」を引き継いだ新造船が3月に就役する予定という。