全国制覇の夢「後輩に託す」 稲葉特別支援学校高等部のサッカー部、全国大会が中止

【コロナ禍で制限を受けながら練習を続ける稲葉特支の選手たち。練習場所は校内で練習試合の相手は教員ら=津市稲葉町の同校で】

収束の見えない新型コロナウイルスが学校スポーツに再び影を落としている。三重県立稲葉特別支援学校(津市稲葉町)高等部のサッカー部は5年連続出場を決めていた全国知的障害特別支援学校高等部選手権(2月19、20日・静岡県)が、年明けからの感染再拡大で開幕約1カ月前で2大会連続の中止が決まった。2020年の同大会ベスト8を経験した3年生らは、かなえられなかった全国制覇の夢を後輩に託す。

知的障がい者サッカーの高校日本一を決める同大会は「もうひとつの高校選手権」と呼ばれる。稲葉特支は県予選を兼ねて昨年7月から12月まで県内7校が総当たりした「県立特別支援学校知的障がい教育校サッカー大会(校長杯)」で5勝1敗の成績を挙げて5連覇した。

18年12月の東海大会で県勢初優勝。19年2月の全国大会でベスト4入りするなど県内屈指の強豪として知られる同校。校内グラウンドはピッチサイズの半分にも満たず、ほぼ全員が入学後サッカーを始めるが、FID(知的障害)三重選抜コーチも務める種村孝司教諭らの指導でこつこつと力をつけてきた。

緊急事態宣言が初めて発令された20年春以降は他の県内学校同様休校となったが、種村教諭の助言で各自の課題にあった動画を見るなどして自主練習に励んだ。「ドリブルの動画を見て近くのグラウンドで練習した」と話す3年生の久保優由主将は「全国優勝を目指して練習してきたので中止は悔しい」と心情を吐露する。

目標とする大会はなくなったが3年生は下級生に混じって部活動を続けている。感染拡大前には昼休みの時間など利用して後輩らのシュート練習にも付き合った鈴木伸弥副主将は「うまくなって校長杯の6連覇を目指して」。「力のある選手たち。全国大会で戦わせてあげたかった」と3年生を気遣う種村教諭も「良い伝統を後輩に伝えていってほしい」と願っている。