<まる見えリポート>レクリエーション感覚で競技普及 鳥羽「チャンバラフェンシング」

【チャンバラフェンシングを体験する児童ら=2021年12月、鳥羽市内で(鳥羽市フェンシング協会提供)】

昨年秋開催が予定されながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった第76回国民体育大会「三重とこわか国体」フェンシング会場の鳥羽市で、レクリエーション感覚でフェンシングに親しむ「チャンバラフェンシング」の普及活動が行われている。昨年夏、東京オリンピック男子エペ団体で日本フェンシング史上初の金メダルを獲得した同市出身の山田優選手の活躍も追い風に、競技人口を増やし、フェンシングで地域を盛り上げようとする関係者の地道な取り組みが続く。

【チャンバラフェンシングで使う剣(鳥羽市フェンシング協会提供)】

電気審判器と接続した剣を用いて、剣の先が対戦相手のメタルジャケット(金属の糸で編まれた服)に触れると通電し、審判器が得点を判定する仕組みは本式とほぼ同じ。大きな違いは剣が市販のスポンジ製玩具を改良したもので、身体に当たっても痛くないこと。主なターゲットを小学生や園児にしていることから子供の集中力が途切れないよう3本先取制にするなどルールも工夫している。考案した鳥羽市フェンシング協会理事長の鈴木満さんは「チャンバラごっこの感覚で気軽に競技を楽しんでもらえれば」と話す。

元県職員の鈴木さんは愛知県出身。昭和50年の第30回国民体育大会「みえ国体」での活躍を期待されて県外から就職した元国体選手。他の国体選手らとみえ国体男子エペ団体で県フェンング勢初の優勝を果たした後、会場地の鳥羽市に居を構えた。約25年前からはフェンシングのスポーツ少年団も立ち上げ、地域の小中学生の指導に携わる。休日返上で遠征も重ねた末、教え子からは山田選手を始めとする複数の日本代表が誕生している。

「チャンバラフェンシング」は2巡目国体の三重とこわか国体の啓発を目的に考案した。安価かつ安全に競技に親しんでもらいたいと、鈴木さん自ら100円ショップで購入したおもちゃの剣に電気コードを通してフェンシング風にアレンジ。コロナ禍で三重とこわか国体中止が決まった後も、放課後事業など活用し幼稚園や小学校での普及活動に力を入れる。今年1月に鳥羽市内で行われた山田選手のトークショー会場では約30人を集めて初の大会も開いた。

三重とこわか国体の開催機運醸成を目的に、高校生フェンサーによるデモンストレーションなど各種普及事業を展開してきた鳥羽市はこれからもフェンシングを町おこしに生かしていく意向だ。当初三重とこわか国体を最後に指導者を引退するつもりでいた鈴木さんも、山田選手の活躍を見て競技を体験したいと市内外から声が掛かるようになったこともあり今後も競技の普及に関わっていく考え。「(山田)優のおかげ。要請があればいろいろ出掛けていきたい」と気持ちを新たにしている。