<一年を振り返って>飯高巨大風力発電「常軌逸した」国内最大級 地元が反対

【竹上市長宛てに「絶対反対」を伝える要望書を渡す地元の3住民自治協議会の会長ら(右)=11月22日、松阪市役所で】

松阪市飯高町に計画する国内最大級の陸上風力発電施設「(仮称)三重松阪蓮(はちす)ウィンドファーム発電所」の建設に向け、事業者が環境影響評価手続きに入った。だが、経産大臣意見は「取りやめも含めた事業計画の抜本的な見直しを行うこと」を求め、地元の3住民自治協議会は「絶対反対」を同市へ文書で伝え、日本最大規模は風前のともしび状態。

事業主体は再生可能エネルギーの開発を手掛ける「リニューアブル・ジャパン」(眞邉勝仁社長、東京都港区)を母体とする合同会社。高さ183メートルの風力発電機を最大60基建設し、出力25万キロワットを見込む。日本最大のウィンドファームつがる(青森県つがる市)の38基、12万キロワットの2倍となる。

事業想定区域は室生赤目青山国定公園と香肌峡、奥伊勢宮川峡両県立自然公園に指定されている。

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事業者は7月30日、環境影響評価法に基づき計画段階環境配慮書を公表した。

松阪市の竹上真人市長は8月16日、学識者らでつくる同市環境影響評価委員会(会長・朴恵淑三重大学特命副学長・県地球温暖化防止活動推進センター長)に諮問し、同日答申を受け、答申に沿った市長意見を知事へ提出した。

市長意見は「科学的な知見に基づいた調査・予測」「地域住民等との合意形成」など5点を求めた。同市がPRしている「まつさか香肌イレブン」の迷岳や木梶山が事業地に含まれるが、触れていない。竹上市長は「中立の立場」と説明する。

一方、9月28日公表の知事意見は、全域が自然公園内で環境保全のため「事業計画を中止するか、事業実施区域の抜本的な見直しが必要」と、計画初期段階では異例の厳しい見解を示した。

許認可権のある経産大臣の意見は10月12日に公表され、知事意見を踏襲して「取りやめも含めた事業計画の抜本的な見直し」を求めた。騒音や土地改変、生態系、景観など各論8項目のうち6項目で「重大な影響が懸念される」とした。

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地元の波瀬、森、川俣の住民自治協議会は11月22日、同市に市有地の使用許可をしないよう求める要望書を提出した。自然環境や景観の破壊、健康被害を挙げ、「常軌を逸した事業計画」「永久に受け入れられるものでない」「断固反対」と猛反発している。

竹上市長は同30日、市議会で「事業は地域の合意が前提。要望は重く受け止める。地域の方々が危惧しているのは十分理解している」「地元説明会で事業者は中止も一つの選択肢としている。かなり大きな見直しがなされるのではないか。今後の動向を注視していきたい」と述べた。

リニューアブル社は同市飯南町の白猪山周辺で「(仮称)松阪飯南ウィンドファーム発電所」を計画したが、市議会が「市有地への建設を承諾しないよう求める請願」を全会一致で採択。同市は平成30年、同社の環境影響評価準備書に対する知事への意見で「地域住民の合意が得られていると言えない状況にある」と伝え、計画は進んでいない。風車は当初の12基から6基へ半分に変更している。

今月3日の市議会で中村誠議員=飯南町粥見=は「地元は、事業者が風力発電機の基数をどんどん減らして、何とか通してくるのではないかと危惧している」と訴えた。同じ心配をする飯高町住民の声をよく聞く。